スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ31)

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episode29 ページ31

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食事を終えて、
ケーキもペロリと食べ終えると

「なぁ、見て！」

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私がプレゼントにあげたサングラスをかけて
鏡の前でニコニコ。

「似合ってるよ」
「Aさんが選んでくれたんやから、当たり前やろ！あ、そだ。みんなに自慢したろ！」

そう言ってノリノリでサングラス姿の自撮りを送りつけてるから

その間に洗い物片付けちゃおーっと。

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カウンターキッチンの向こうで彼の様子をちらちら伺いながら
使ったお鍋や食器を片付ける。

「コゲが…」

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お鍋にこびりついたコゲが取れなくて
ついつい夢中になって洗い物をしていると、

「ひゃっ！」

ふいに後ろから回された腕に
思わず持ってたスポンジを落としてしまう。

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「びっくりした……。しょーくん？自撮りはもういいの？」

手についた泡を流しながら聞けば
私の肩に乗った小さな顔が

「そんなんはいいのー。」

って不貞腐れてる。

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「どうしたの？急に」

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蛇口をひねって水を止めて
振り返ろうとするけど、

後ろから私を包む力は強くて

「今日俺の誕生日やねんで？」
「知ってるよ？だからこんなに色々…「やったら、放ったらかしにせんといて…」

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どうやら、紫耀くんを他所に洗い物してたことが気に食わないらしい。

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こういう構ってちゃんの時の紫耀くんは結構大変で…

「ごめんーっ」
「もう今から離さん！」

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部屋を移動するにも
ぺったりくっついてきて

終いには
「お風呂入りたいんだけど…」
「ほな、一緒に入ろか！」

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「Aさん？もう入ってええー？」

「まっ！まだ！待って！」

お風呂場までついてきた…。

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「あ～誕生日っていいな～。なんで一年に一回だけなんやろ？毎日誕生日がいい～」

「そんなの無理すぎるよ笑」

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バスミルクを入れた真っ白なお湯の中、
向かい合わせに座ってそんなこと言った紫耀くんに
笑っていたら

「ね、もっとこっちきて」

濡れた髪が色っぽい彼が
両手を開いて私をみてる。

「え…いいよぉ」

恥ずかしくてそう言うと
この世の終わりみたいな顔して
「いやや！来て！」って駄々っ子みたいにわがままいうから

本当に今日の紫耀くんには振り回されっぱなし…

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