スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ26)

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episode26 ページ26

「来週末ね、退職する同期の送別会なの。行ってもいい？」

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ある日の夜、
ベッドでうとうとしながらスマホを見ていた紫耀くんの背中に声をかけた。

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付き合い始めてからというもの、
あまり積極的に飲み会にいくことはしなくなっていたけど

同期が寿退社するおめでたい時、
一緒に入社して頑張って来た彼女と最後くらいパーっとやりたくて…

一応紫耀くんに確認。

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「ん？ええよ？」

心配性でヤキモチ妬きは彼のために
わざわざ確認とったのだけど
当の本人は「なんで聞くの？」と言わんばかりの顔で振り返った。

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「ありがと。ちなみにその日紫耀くんは仕事？」

「来週末？んー……っと…あ、普通に夜まで仕事や」

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そんな話をしていたのも忘れるくらい、
あっという間にその日が来た。

・

仕事終わりに職場のみんなでゾロゾロと近くの居酒屋へ移動する。

「Aちゃん飲んでる？」
「同期の祝いの席だぞ？お前もっと飲めよ」
「それパワハラですよ！笑」

久しぶりの宴の場。
あっという間に酔いは回って
雰囲気に飲まれて、

気づけば1年先輩の山下さん(男)に
肩を枕にされている状態…。

「山下！Aちゃんの彼氏に怒られるぞ！」

「そーだよ！酔っ払っておイタしましたなんて許されないから！」

周りがそう言う声がする。

山下さんの頭を退けようとするけど
酔った山下さんはもはや抑制が利かない状態で

「どいて下さいよぉ」

酔っ払って回らない呂律でそう言って
重たい頭を両手で押した時、

「ん。Aちゃんスマホ鳴ってるよ」

テーブルに置いたスマホが震えて
画面には「しょうくん」の文字。

「しょうくん？彼氏？」

「あっ！ちょっと！！」

酔っ払った山下さんは、
そのまま私のスマホの通話ボタンを押して

「もしもーし。Aちゃんの先輩の山下ですっ！Aちゃんはお取り込み中で～す」

なんて言いやがった！！！

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一瞬で覚める酔い。

「…しょ、紫耀くんごめん、違う」

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慌てて取り返したスマホを耳にあて
部屋を出ると

「酔っ払ってんの？」

少し怒ったようにも聞こえる紫耀くんの声。

・

「大丈夫だよ、先輩が酔ってるだけ。もうすぐ帰るね？ごめん」

「飲み会どこでやってるん？心配だから行く」

やっぱり彼は心配性だ。