スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ20)

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ガチャガチャと、
玄関で荒く鍵が開けられる音がする。

おそらく紫耀くんのしわざなんだけど、
いつもと違う手荒な感じに
リビングにいた私は
思わずビクッと肩をあげてしまう。

今日はメンバーと食事に行くと話していたから
ほとんど飲めないお酒でも飲んで
酔っ払ったのかと

呆れながら玄関へ向かうと、

・

・

「……えっ？あ、え？」

「あっ、すいませんっ！紫耀と同じKing & Princeの永瀬なんすけど…」

・

そこにいたのはベロンベロンな紫耀くんと、

そんな紫耀くんを細い身体で担ぐ
はじめましての…永瀬廉くん。

驚く私をみて慌てて手を合わせて謝ったせいで
彼を支えになんとか立っていた紫耀くんがゴロンと玄関に転がった。

「あっ！！紫耀ごめん！！」

「……いってえ……」

とりあえず、ここまで紫耀くんを運んでくれた永瀬くんに

「ごめんなさい、中まで運んでもらっていい……ですか？」

紫耀くんの搬入をお願いすると、

「そっすよね。こんな筋肉の塊、女の人には運べませんよね(笑)ってか、俺でもギリっすわ」

苦笑いを浮かべながら
なんとか紫耀くんをベッドまで運んでくれた。

・

・

「紫耀！！紫耀！家着いたで？いい加減起きーや！」

永瀬くんがうつ伏せの紫耀くんのお尻を叩くけど

「……気持ち悪い～むりぃ～…」

ゲロゲロな紫耀くんはぎゅっと目を閉じて起きそうにない。

「すいません、ほんと。普段俺らと飯行くときは飲まないんすけど、途中でのんべえのスタッフさん来てしまって強制的にこの有様で……(笑)」

「あ、ううん。わざわざ送ってくれてありがとうございます。」

なぜか申し訳なさそうにする永瀬くんに
お礼をすると、

彼は少し長めの前髪をサッと流して

「あの、Aさん、でしたよね？」

急に改まったように話し始めた。

「…そ、そうです。」

「紫耀から聞いてます。来月の頭のパーティー、Aさんも来るんすよね？」

・

・

来月？

パーティー？

・

？？？なワードに

「…なんのこと？」

よくわからない私に

「え？！紫耀から聞いてないんすか！！やっべ！！しくった！！」

永瀬くんはなぜか顔を赤くして口元を手で隠すと

「あの、聞かへんかったことにしてください……」

そういうと

「じゃ、タクシー待たせてるんで帰ります。……紫耀のこと頼みます」

玄関で靴をはいて帰ろうとする。