スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ19)

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episode19 ページ19

「Aさんっ」

紫耀くんの仕事がすこーしだけ落ち着いて
オフはなかなかないけれど夜は一緒に過ごせる日が増えて

それに伴って
紫耀くんが甘えてくる日が増えた。

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嬉しそうにほっぺの上のほうにえくぼを作って
私のことを抱きしめてくれる紫耀くんが可愛くて

私も素直に紫耀くんと向かい合わせになるように座る。

「あーもう、本当にAさんがすきー！すきすきー！」

当たり前に一緒にいれた頃は割とクールだった気がするのに、
会えなかった分が爆発してるのか
あまりにも“好き”の連発だから

「わかった、わかったよー笑」

宥めるように背中をポンポンしたら

「…え、Aさんは俺のことすきじゃないの？」

突然体を話して目を丸くすると、
この世の終わりみたいな顔で私を見た。

・

・

…好きじゃないわけが無いじゃない。

そう思ってるのに、

ちょっと意地悪したくなって

「ん？ふふふ～笑」

とぼけたように笑ってみせると

「えっ。まじ？つらすぎる……」

わかりやすく項垂れたかと思えば

「じゃあもう俺、Aさん抱っこしない！チューもしない！」

そう言って私から離れていく。

・

・

冗談で言ってることは分かってるんだけど
紫耀くんの顔には「かまって～」って書いてあるから

気がつかないふりして

「えっ！ごめんごめん！」

すがるように紫耀くんの手を引っ張る。

そしたら
「だってAさん、俺のこと好きじゃなさそうなんやもんー」

なーんて言いながら
私が釣れたことを嬉しそうにして、

「好きならちゅーしてよ。」

こう言うこと言うの。

私が普段から、
恥ずかしがって自分からは出来ないことを知っててそういうおねだりをするから……あっという間に形勢逆転。

「…目つぶって…」

紫耀くんの肩に両手を乗せて囁けば
素直に閉じる二重まぶた。

目の前のピンク色の唇は
程よく厚みがあって、
触れる前からあの柔らかさを思い出してしまう…

ゆっくり顔を近づけて
あと数センチ…ってところで

「……おそい」

待ちきれなくなった紫耀くんの手が
私の後頭部を引き寄せて

……重なる。

部屋に響く甘いリップ音に

「…しょおくん」

私はもうヘロヘロで。

「しょおくん…って(笑)やっぱかわいー！！！」

思いっきり抱きしめられると

やっぱり敵わない…ってつぶやいた。