スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ38)

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episode36 ページ38

運ばれてくる料理はどれもオシャレで、

目にも、舌にも美味しくて

・

最後のデザートには
小さな花火が付いてきて

「……きれい」

・

・

１つ１つに感動してしまって、
静かな店内に流れるオルゴール調の音楽に乗せられるように

心が更にギュッとなって

・

・

「紫耀くんありがと。こんなにステキなお店に、料理まで…」

・

となりに座る彼をみれば、
心なしか彼の瞳も煌めいていて

・

「Aさんこそ、いつもありがと。おれね、Aさんが大好きだよ」

・
そう言って微笑む顔が

「私も紫耀くん大好きだよ。」

・

「えへへ。……あっ」

急に真顔になったかと思えば

・

「これプレゼント。いつか絶対、こっちにつけるやつも俺が渡すから」

・

膝の上に置かれた私の左手を優しく握ったあと、
反対の右手をとり、
その薬指に嵌められるリング。

「……っ」

「だから、まだまだ俺のそばにいてね？」

・

そばにいさせてもらいたいのは私の方なのに…

・

右手の薬指に光るリングに、

彼の言葉が、

彼の描く未来に私がいることが

・

・

嬉しくて

・

・

「なんで泣くん～～？可愛いお目目が台無しや～～」

・

ぐずぐずに泣いてしまった私を
紫耀くんが笑いながらあやして

・

・

・

「そんなに嬉しい？」
「うれしい！！」
「ふはは、それは渡した甲斐があるわ」

・

帰りの車内、
月明かりにリングを写す私を見て
紫耀くんがまた、嬉しそうに笑った。