スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ15)

今日:9 hit、昨日:10 hit、合計:264,603 hit

episode15 ページ15

紫耀くんの仕事が過密スケジュールで進む中、

束の間の休息となったその日

朝目が覚めた時から、
視界に入るのは紫耀くんの丸まった背中で

疲れているからまだ寝かせてあげようと、
そーっとベッドを抜け出したものの

朝ごはんを作り終えても、
洗濯機を回してベランダに洗濯物を干しても

なかなか起きてこなくて

「紫耀くん？」

流石に心配になってもう一度寝室を覗くと
さっきと変わらず、
まるで暖をとる大型犬のように丸まって眠ってて

「具合悪いの？」

ベッドに乗っかって
壁側に眠る紫耀くんの顔を覗いたら

「……ん。頭痛い」

渋々振り向いたその顔は白くて
いつも血色のいいふにふにの唇も
可哀想な色してる。

「あっ、熱ありそう」

前髪を避けておでこに当てた手のひらに伝わる熱が
ジンジン熱くて

無理やり挟ませた体温計は

「38.4℃……」

高熱を示していて、

おそらく、
気を張ってこなしてた仕事の疲れがオフにどっときた感じ。

「寒くない？」

「……うん、あつい。」

寒気はないから
これ以上熱は上がらないかな……

氷枕を用意して
熱冷ましシートをおでこに貼ってあげる。

「せっかくのオフなのに、一緒にお出かけできなくてごめん…」

人が多いところへ2人では出掛けられないから
紫耀くんはオフの日になるとよく
車の助手席に私を乗せてくれて
東京から数時間でいける自然の多い場所へ連れて行ってくれる。

今日も、オフだと決まった時から
紫耀くんが「Aさんと行きたいところがある！」って嬉しそうにしてたけど

「しょうがないよ。また今度連れて行って！今日はまず体を休めることが優先」

暑そうにしてる毛布をどかして

「また様子見にくるね」

ベッドから立ち上がると

相当辛いみたいで

「うん…」

大人しく目を閉じた。