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「あ、ごめん。どこかで見たような気がしただけ。注文どうします?」
あ、そうですか。
どこにでも居るような顔なんで、こちらこそすみませんね。
私はラーメンだけ、蓮はラーメンセットを頼んだ。
「あ、美味しい」
「ほんとだ。美味い」
「ふふ、ありがとうございます! 辰哉さん良かったですね!」
「店長って呼べ店長って」
たまたまお皿を下げに来た若い店員さんにお礼を言われて、二人のやり取りを見ていて笑みが零れた。
なんかいい雰囲気だなって。
「ありがとうございました!また来てくださいねー!」
ご丁寧にも入口外まで見送りに来てくれた彼女の笑顔に癒されて、蓮までも手を振って駅まで向かう。
「佐久間も連れて来たいなー」
「でた、さくま」
「うるさいなー」
日のくれた駅前をのんびりと歩きながら、今頃佐久間はなにしてるかなって。
またあの公園で踊ってて、今日私が行かないことに少しくらい寂しさを感じてくれてないかなって。
「うわ、すけぇ高級車」
信号を渡れば駅だってところで赤信号に引っかかって立ち止まる。
蓮の目線の先を追うように見てみれば、私とは縁が無さげな高級車が反対車線で停まってて、凄いなーと見てたらドアが開いた。
「__え?」
車から降りてきた人それが佐久間だと気づいて、しかも運転手つきって。
なに佐久間って偉い人なの?
「A?」
佐久間が降りて少し身を屈めて車の中を覗き込んだすぐあとに、白いワンピースの女の人も車を降りてきて、
佐久間のエスコートによって歩道へ立った。
きっと、彼女なんだ。あの人が。
「おい、A」
「……ん? なに?」
「なにってお前すげぇ顔して、」
「見なくていいからっ」
「あれなの? もしかしてあの人が"さくま"?」
私の視線がそこから動かないから、蓮に気付かれてしまった。
でも目が逸らせなくて。
「……蓮っ」
青信号に変わってすぐ私の手を取って足早に横断歩道を渡る。
足の長さが違い過ぎて、こっちは着いて行くのがやっとだ。
「大介くん、今日はありがとう。とても素敵なレストランだった」
「気に入ってもらえて良かった。あそこは俺の知り合いのお店だからまた行こうね」
近付くに連れて聞こえた会話。
ほらやっぱり彼女じゃん。
レストランか、私とは居酒屋か公園だけど。
でも彼女じゃあ似合わないね。
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ゆきんこ(プロフ) - ゆんさん» ゆん様、こちらにもコメント有難うございます!とっても嬉しいです(^-^)私が好きな彼を妄想して書かせてもらってますので、それで気に入って下さると本当に嬉しいです!おまげで、しっかり読んでもらえて幸せです☆有難うございました(o^-^) (2021年4月16日 21時) (レス) id: 4eb798e005 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - 続けてコメント失礼します...!作者様が作り出す桃さんが本当に素敵で、読んでいてずっと胸がぎゅっとなってました。ハラハラもしましたが、最後ちゃんと幸せを掴めて良かったです(;_;)あと最後のおまけでまた泣きました(笑) (2021年4月16日 21時) (レス) id: 9b672a5393 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - せいなさん» せいな様、その初めてを私に下さり有難うございます!嬉しいです!泣いてくださるほど感情に入り込めた事更に嬉しい。こちらこそ見つけて下さり、そして読んで下さり、コメント下さり有難うございました(^^) (2021年4月8日 8時) (レス) id: 4af061861f (このIDを非表示/違反報告)
せいな(プロフ) - 初めまして。感想なんてはじめて書きます。笑こんなに泣いた小説ははじめてでした。すっごい感動しました。素敵な作品を作っていただき、ありがとうございます。この作品大好きです。 (2021年4月8日 0時) (レス) id: 6e9aa29fb4 (このIDを非表示/違反報告)
☆ゆきんこ☆(プロフ) - 雪の王子様さん» こちらにも有難うございます!お付き合いしてると錯覚してもらえるなんて、凄い褒め言葉です!嬉しい(泣)素敵なコメントほんとに有難うございました! (2020年10月7日 13時) (レス) id: e8f02d2b5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆ゆきんこ☆ | 作成日時:2020年9月11日 12時