082：見た事ない姿 ページ33
“自分との戦い”だと心の中で呪文の様に唱えながら、花火を手に先輩と話しを続ける私。
公園の端からはジョンファンとソヌが戯れる声がまだ聞こえてる…
SY「Aちゃんは
中学からジョンファン君と一緒なの?」
「はい、入学式の時に初めて会ったんです」
SY「そうなんだ、同学年って羨ましいな」
「そんな、別に何も良い事なんてありませんよ…
私は…先輩の方が羨ましいです…」
SY「え?どうして?」
「先輩は…頭も良くて、綺麗だから…」
私がそう言うと「そんな事ないよ」なんて顔を赤くして照れるスヨン先輩。
先輩は謙遜してるけど、私は本当に先輩が羨ましいと思う。
頭が良くて綺麗だからなのはもちろん、
ジョンファンに好きだと思ってもらえる、そんな先輩自体が羨ましいって…
「先輩…聞いてもいいですか?」
SY「ん…?なに?」
「どうして、ジョンファンが好きなんですか?
ジョンファンのどこが好きなんですか?」
そんな事を聞いてみたかった理由は大した事じゃない、
これだけ完璧でモテる先輩がなぜジョンファンを好きになったのか、
そんな誰でも考える様な疑問を私も抱いたから
SY「うーんそうだなぁ…色々あるんだけど、
いつも元気で明るくて楽しいし
人に優しくて純粋な所とかかな、
ジョンファン君と一緒に居ると
私まで元気になれるし」
そんな先輩からの答えを聞いて、私は正直ガッカリしていた。
だって、そんなの私だって知ってる、
ジョンファンはどんな時だって笑顔で周りのみんなを元気にしてくれるし、
どんな人にだって優しくて心が綺麗な人…
私だって、ジョンファンのそんな所を好きになったんだ
SY「だけど1番好きなのは、
ああ見えて男らしい所かな」
「男…らしい?」
SY「うん、いつもは弟みたいに可愛いのに
たまに男らしくてカッコよく見えるのが
1番好きな所かな」
「…ジョンファンが…男らしい…」
私は見た事ない…そんなジョンファン…見た事がない
SY「ジョンファン君には秘密だよ?
Aちゃんにだけ教えたんだから」
「…はい…」
私が見た事のないジョンファンの顔を先輩は見た事があるのかと思うと、
落ち込むと同時に嫉妬の嵐が心の中で渦巻いて行く。
ジョンファンの事1番知ってると思ってたのに、本当は知らない事ばかり…
1番近いようで1番遠い“友達”という関係に私は嫌気がさしていた
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作者名：のん | 作成日時：2016年5月17日 21時
