好きな人には他に好きな人が居ます 2 (ページ32)

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081：飲み込んだ言葉ページ32

JF「ソヌやめろってばー!!」

私との駆けっこが終わり暇を持て余したのか、
今度は花火を片手にジョンファンを追い回してるソヌ。
そんな2人を…というか、必死で逃げ回るジョンファンを見ながら
「2人っていつもああなの?」なんてスヨン先輩は笑ってる

「そうですね…
　2人揃ったらいつもあんな感じです」

SY「面白い2人だね」

そう言って微笑みながら手に持ってる花火の光に照らされる先輩は、悔しいけれどやっぱり綺麗で、ジョンファンが好きになるのも無理はないな…なんて、そんな事を考えていた私。
綺麗な見た目に反して気取らない性格の先輩は
今日だってジーンズにＴシャツとシンプルな格好で、今の私と大して変わらない。
それなのに何でこんなに違うんだろう…なんて考えて、
スタイルが違うからだというシンプルな理由に気付き私は1人で勝手に敗北感に浸っていた

SY「ねぇ…Aちゃんはもしかして
　ソヌ君が好きなの?」

「…えっ?」

SY「違ったかな…?
　何となくそうかなって思ったんだけど」

「ち、違います!!ソヌとはただの友達です!!」

SY「フフッ、別に照れなくてもいいのに」

「本当に違いますっ」

首を横に振りながら必死に否定する私を「そっか」なんて笑いながら見てるスヨン先輩。
照れたわけじゃなくて本当に違うから否定しただけだし、
ソヌと私は別にそんなんじゃないのに、どうして皆私達をくっつけたがるんだろう…

「あの…先輩…」

SY「ん?なに?」

「…あの…私っ…」

何を血迷ったのか、この時私は“本当はジョンファンが好きだ”って先輩に言いかけていた、
言えばこの心のモヤモヤが晴れそうな気がしたから…
だけど私が口を開こうとした瞬間「せんぱーい!!Aー!!」と、
遠くの方から笑顔で手を振ってくるジョンファンの声で会話は途切れてしまった…

SY「…今何か言ってなかった?」

ジョンファンに笑顔で手を振り返した後、私を見てそう言ったスヨン先輩

「いえっ、何でも…
　花火!!消えたから火つけましょう!!」

SY「うん、そうだね」

私はさっきの言葉を誤魔化すように笑い、急いで花火に火をつけた。
先輩にジョンファンが好きだって言えなかったのは、
恥ずかしかったからでも邪魔が入ったからでもない…
ジョンファンのあの笑顔を見たら言葉が出て来なくなってしまった、
先輩が悲しむとジョンファンも悲しんでしまう…そう思うと、何も言えなくなってしまったんだ

　