好きな人には他に好きな人が居ます 2 (ページ30)

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079：隠れた嫉妬心ページ30

-ソヌside-

「あれっ、ソヌ自転車は?」

SN「あぁ、今パンクしてる」

「そうなの?じゃあ歩いて行くしかないか」

マンション前でそんな話しをした後、2人で歩き始めた夜の道。
だけど自転車がパンクしたなんて真っ赤なウソで、
このうだるような暑さも無くなった気持ちのいい風が吹く夏の終わりの夜に
自転車だとすぐに着いてしまう待ち合わせの公園までの道を、
少しでも長く、Aと一緒に歩きたかっただけ…

「ねぇそういえばさ、前に3人で遊んだ時に
　ジョンファンが着てた洋服面白かったよね」

SN「あぁ、あの妙にカラフルなＴシャツだろ?
　あいつ私服のセンスないもんな」

「フッ、ソヌもやっぱりそう思う!?
　何か変なんだよねぇ。
　今日はどんな洋服着てるんだろ」

ジョンファンをけなすような事を言いながらも声は弾んでいて、楽しそうに歩くA。
そんなAの顔を見て、ジョンファンに嫉妬しない…わけじゃない。
好きな人が他の人を見てたら嫌な気持ちになるのは当たり前で、それはもちろん俺だってそう。
ジョンファンの事ばかり見てるのも、ジョンファンの事ばかり言うのも、
ジョンファンの事ばかり考えてるのも…そんなAの行動すべてに嫉妬する。
でもだからって、その気持ちを表に出した所で何が変わるわけでもなく、
むしろ変わるとしたら、俺とAの関係が悪くなるだけなわけで…
“友達”という居場所をなくすのが怖い俺は、必死に気にしてないフリをしてるんだ。
“好きな人”になる事が出来ないのなら“1番の友達”という曖昧なポジションでもいい、
それでもいいからAの側に居たいと思ったから

「ねぇソヌ…」

SN「ん?」

「本当…いつもありがと」

SN「…なんだよ急に」

「なんかさっ!!ソヌが居なかったら
　どうなってたんだろうな～って考えると、
　出会えて良かったなと思って」

いつもは邪険に扱うくせにたまにこういう事を言うから、その度に揺れ動く俺の心。
居てくれて良かったなんて言われたら、
嫌われるくらいなら友達のままでいいかなんて、また思ってしまうんだ

「ジョンファン達もう着いてるかな?」

SN「さぁ、どうだろな」

待ち合わせの公園はもうすぐそこ、この角を曲がれば着いてしまう距離。
さっきはAが気合いを入れていたけど、
今日は俺にとってもAと友達で居るための自分自身との戦いだと、
静かにこぶしを握り締め心の中で気合いを入れた

　