078：自分との戦い ページ29
もうどうせなら、雨でも降っちゃえばいいのに―――。
そんな私の願いも虚しく、土曜の夜玄関を出て見上げた空には
雲ひとつ無く綺麗に輝く星たちが…
「晴れちゃってるよ…」
この空じゃ何がどう転んでも中止にはならなそうだと
ため息を吐くと共に心の中で呟いたつもりが声に出ていたらしく、
そんな私の言葉に「行くのやめるか」と、いつの間にか隣に居たソヌが言った
「そんな事出来るわけないじゃん…」
SN「ま、そうだよな」
「…またバカだって思ったでしょ」
SN「は?」
「先輩を誘うの嫌なくせに断れないで、
バカだって思ったでしょ」
そう言いながらすねる様に口を尖らせた私に、
「んな事思ってねーよ」なんて呆れながら答えたソヌ
SN「どうせあいつの事だから何も考えないで、
断りにくい様な言い方してきたんだろ?」
「…まぁ…そうだけど…」
SN「なら仕方ないじゃん」
「…うん……」
SN「ま、どうなるか分かんねーけど」
「俺も居るんだから心配すんな」と私の頭に置かれたソヌの手が、
“元気出せって”って言ってる様にも聞こえた。
こうやってソヌと一緒に居るといつも考えてしまう、…ソヌは平気なのかなって。
私はジョンファンと先輩が一緒に居るのを見るだけでも嫌なのに、
ソヌは私がジョンファンと居ても何も言わないし、気にしている気配すらない。
だからソヌの気持ちを知っていながら甘えてしまう自分が居るんだけど、
普通好きな人が他の人と仲良くしてるのって嫌なんじゃないのかなって、
ソヌの心の中を考えれば考える程分からなくなる…
「あーもうっ!!考えててもしかたない!!」
SN「何だよいきなりっ」
考えを吹き飛ばす様に頭を振りながら
いきなり声を張り上げる私にビクッと反応したソヌ
「ウジウジしててもしかたないって事!!
こうなったらやってやる!!!」
何か吹っ切れたように私がファイティングポーズをとってみせると
「誰と戦う気だよ」なんてソヌに笑われて、
「自分との戦いっ!!」とキリッとした目で答えたら「なんだそれっ」ってまた笑われた
「気合いよ、気合い!!」
そう、これは自分との戦いだ。
怒りや悲しみをどうやって抑えるか、そんな自分自身との戦い。
SN「ほらっ、
気合入れたんならさっさと行くぞ」
闘志を燃やす私に半分呆れながらそう言って歩き出すソヌの後ろを、
私はもう一度気合を入れなおして追いかけた
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作者名：のん | 作成日時：2016年5月17日 21時
