好きな人には他に好きな人が居ます 2 (ページ27)

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076：急な展開ページ27

“ありがとう、いい曲だった――”

かすかに聞こえてくるスヨン先輩の声に必死に耳を傾ける私、
途切れ途切れに聞こえた話をまとめると、
どうやらジョンファンが好きなCDを貸して、それを先輩が返しに来たらしい。
そしてそんな話しを知った瞬間、ジョンファンの好みや趣味を先輩には知って欲しくないと、
怒りと不安で焦りだす私の心…
ジョンファンの事を1番知ってるのは私なんだって、
そんな小さなプライドすら今にも先輩に奪われてしまうそうで
私は1人、ソワソワと落ち着きも無く黒板を眺めていた

JF「ねぇA!!」

大きな声で呼びながら、先輩を廊下で待たせ急いで私の席にやって来たジョンファン

「ん?なに?」

JF「さっき話してた花火さ、
　スヨン先輩も誘っていいよね」

「え…」

JF「3人じゃ寂しいし4人の方が楽しいでしょ」

「えっ…あぁ…」

JF「じゃあ先輩も誘ってくるね!!」

私に有無も言わさない話しの展開を繰り広げ、
スキップでもしそうなくらい軽い足取りで戻っていくジョンファンを見つめる私の顔は、
ちょっとだけ、…いや、かなり不服そうな顔をしてたと思う

「…ダメとか言えるわけないじゃん…」

前にあるジョンファンのイスを軽く蹴りながらそう呟き、
“バカジョンファン…”と心の中で付け足した。
せっかく一緒に遊べるのに、スヨン先輩が来るなんて本当はすっごく嫌。
“先輩が行くなら私は行かない!!”なんて大声で言えたらいいけどそんな事言えるはずもなく、
それどころか、あの状況でダメだとか言えるわけが無い。

「3人じゃ寂しいってなによ…」

3人でも全然寂しくなんかないし、私はジョンファンさえ居ればそれで良かったのに、
ジョンファンはそうじゃないんだなんて考えて、
少しずつ広くなっている気がする私とジョンファンの心の距離

「はぁー…行きたくないなぁ」

先輩が来ると聞いて一気に行きたくなくなる私、
せっかく楽しみが出来たと思ったけど、今じゃ雨が降れば良いなんて考えてる

JF「先輩も土曜でＯＫだって!!」

スヨン先輩との話しを終えて戻って来たジョンファンの
先輩からのＯＫをもらってさっきよりも楽しそうに見える姿が少し腹立たしい

JF「誘ってくれてありがとうってさ!!
　先輩と花火出来るなんて僕も嬉しいよ」

「うん…良かったね」

もうどうでもいいや…どうにでもなれ。
…そう心の中でため息を吐きながら、私は頬杖をついて窓の外を眺めた

　