069：終わりの無い迷路 ページ20
-ソヌside-
あいつの名前を叫びながら目を赤くしてすすり泣くA、
そんなブサイクな瞬間ですら愛おしいと思ってしまう自分に、俺は呆れながらも少し笑った。
海で叫び泣くと少しはスッキリしたらしく、涙を止めたAと静かに眺めた海はとても綺麗で…
そんな海を眺めるAの横顔も綺麗だなんて思ったのは
きっと夕日が眩しくて良く見えなかったからに違いない…
SN「A…」
俺が呼ぶと、「ん?」とバカっぽい顔で振り向くA
SN「Aが好きだ」
「…え?」
SN「やっぱり俺…Aが好きみたいだ」
そんな事言っても意味なんて無いって頭では分かってるのに
今この瞬間、口にせずにはいられなかった
SN「Aの気持ちは分かってる…
それに俺、1回フラれてるわけだし」
ジョンファンを好きなのは百も承知だし、諦められないのも分かってる
SN「でも…諦められない…
俺も、Aの事諦められない」
「…ソヌ…」
SN「あの時は一目惚れだって言ったけど、
ずっとAの事見てきて
やっぱ好きだって思ったんだ。
ジョンファンの事忘れろなんて言わないから
少しだけ俺の事も考えるとか…出来ないかな」
フラれた相手にまた告白なんて女々しいなって思うけど、
やっぱり俺は今でもAの事が好きみたいで、諦める事が出来ずに告げた言葉。
そんな、考えもしなかったであろう俺からの二度目の告白にAは固まっていて
少し困った顔をしてるこの顔を見るのも二度目かもしれない
「…ごめん…ソヌ……
ソヌは私にとって凄く大切な友達だし、
ソヌの事凄く好きだけど…
そういう好きじゃないっていうか…
…ジョンファンの事忘れられないのに
ソヌの事を考えるなんて、
そんな事私には出来ないよ…」
申し訳無さそうに言葉を選びながら話すA、
分かっていた答えでも本人の口から聞くとやっぱり辛い
SN「…そっか、そう…だよな」
「ごめん…」
SN「いや…俺こそごめん…」
そんな言葉を最後に会話は途切れて、ただ静かに海を眺めた俺達。
こうして俺の2度目の告白も見事に玉砕して幕を閉じ、
その言葉は海の藻屑となって消えていった…
一体俺はいつまでAを好きでいるんだろう、
ジョンファンばかり見ているAの後姿をいつまで追い続けるつもりなんだろう…
もしかしたらあの日俺は、終わりの無い恋の迷路に飛び込んでしまったのかもしれない
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作者名：のん | 作成日時：2016年5月17日 21時
