好きです、三ツ谷くん！ (ページ3)

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恋に落ちた音ページ3

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『帰っちゃったんですか』

「そうなのよ。
村山さんを寝かせたら、戻りますって。
爽やかだったわあ」

あの後、名前も知らない彼は、
私を保健室まで連れて来てくれた後、
教室に戻ってしまったそうだ。

『お礼、言いそびれちゃったな』

一時間も寝たら、だいぶ体調も回復した。

まだ恐らくみんな帰ってない時間だろうし、
教室に戻ることにした。

なんてったって、今日は入学式。

学校や授業のオリエンテーションが残ってるはず。

ぼんやりと先ほどの記憶の彼を思い出す。

紫がかった銀髪の、大きなピアス。

同じ制服だったし、お礼言うチャンスはあるかなあ。

あ。でも結構大人っぽかったしな。

先輩の可能性あるかな。
そもそも、この広い学校で会える可能性はあるのかな。

『はあ…、…失礼します』

自分の教室の扉を開けると、一気に注がれる視線

うっ。途中で入ってきてごめんなさい。

「村山さん、体調は大丈夫？」

『はい。回復したので戻ってきました』

「そう、よかった。席に戻ってね」

担任の先生の安心した顔に会釈して、

窓際のぽつんと空いている席に戻ろうとして、気づく。

…あ。

紫色の銀髪に、左耳に大きなピアス。

私の席の前に座る男の子だった。

彼は、口パクで「大丈夫？」と聞いてきた。

私はそれにコクコクと必死に頷いた。

そして、「ありがとう」と口パクで返した。

彼は、その口の動きを見てニッと笑い、前を向き直した。

『(う、わあ～～～…)』

途端に、熱くなる頬と、煩い心臓音。

恋に落ちた音がした。

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