＊君が好きで仕方がなくて＊

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少し赤みを帯びた夕陽が山の間から顔を出した。






「え…と…」




「どうしたの？Aちゃん」




「なんでもないんですが…なんか、緊張するかなー…って」




「そか、じゃあ俺の昔話聞いてよ」








そういう話が私は大好きだ。昔話なんて、特に。だからコクリと頷いた。







「俺ね、10歳の時が初恋なんだ…その子の名前はA。」





「私と…同じ名前…？」






「うん。それで、可愛い」




「へぇ…」




「でもその子、アメリカに引っ越して行っちゃったんだ」




茶色の様な黒の様な…それでもサラサラしている壱太の髪が風に靡き大きな目を隠している。








「俺な、最初糾斐とAちゃんが俺の所に来た時似てるなーって思った。」








私の睫毛は自然と下を向き、涙腺が潤んできた。私では無くてその子なんだな、と。







「本当に、好きだった。」








いつの間にか壱太の目にも涙が浮かんでいた。




「大好きだった__________ 」

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