検索窓
今日:17 hit、昨日:8 hit、合計:10,564 hit

情けなさ3up ページ3

窓の外。

重たい喑灰から振る白が青に溶けていくのをぼうっと見つめる、現実逃避だ。

見たくない、聞きたくないものから目をそらす。

こんなの気休めにもならないのに。

分かってても直視するよりかはマシで、壁にもたれかかって外を見ていた。


「ァ、ぁッ、お、申し訳、やめ、やめてくッ、あッ、ぁ、ぁぁッ!!!!やめてくれッ!!!!」


聞こえてきた甲高い声に胸が締まる。

肉が離れる生々しい音。

何かが砕けたような痛ましい音。

飛び散った赤い何かが窓の縁を汚す。赤黒い、穢らわしいものが肌を濡らす。


「誰が話すことを許した?」

「ッァ、ぁ、ぁっ!ぁぁ、もう、わけっ、なッっ!!!」


ぶちりと何かが千切れて、声のない悲鳴が響いた。


「…………………………」


平常心、平常心、考えたらダメ、見たらダメ。

おかしくなる

人じゃなくなる

ダメだ。見たら、ダメ。

だけど聞こえてくる尊厳を破壊する数多の行為から、目をそらすことなんて当然無理で。

薄っぺらい赤いような、白いような何かが窓に当たった。

速度を失ったそれ。

重力に従って落ちていく何かについたものが肉片だと分かったとき、一番に感じたのは喉を迫り上がる気持ち悪い吐き気。

どうにか抑えようと思ってたのに。

口を抑えて窓から離れる。


「ぅあッ……ぉ゛…」


腹の奥から何かが戻ってくる、込み上げてくる。

臭い何か。気持ち悪い何かはたぶん、今朝食べた朝食。うずくまって壁に寄りかかる。


「?………………まったく、相変わらず弱いねぇ」


弱いも強いもあるもんか。

そんな口答えすら出来ないくらい、気持ち悪い。

耳が取り込んだ静かな足音。自分の背で止まった彼は、静かに手を背に当てたと思えば上へ下へ。


「ゆっくり息を吸うんだ」


首を横に振る。


「………………お前たち、徹底的に、分かったね」


腹に回った手にぐっと口を押えた。

戻す、戻す!!ばたばたと手を退けようと暴れるわたしの耳元で彼は嘲笑うように吐き捨てる。


「ここで戻したくないんだろ?まぁ、僕は別に、この場で君が吐いたって構わないんだけど……ねぇ?」

情けなさ4up→←情けなさ2up



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (55 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
148人がお気に入り
設定タグ:放浪者 , 原神 , gnsn
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

創造者 - えっ!終わり⁈ (5月4日 9時) (レス) @page8 id: 911abfc5cd (このIDを非表示/違反報告)
suki(プロフ) - おいのさん» (∩´∀`)∩ (11月10日 22時) (レス) id: a5a75fd5fc (このIDを非表示/違反報告)
おいの - え、いや?ん、ん?え、ウマっえ、え、s好き (11月3日 7時) (レス) @page6 id: e1a3f3b1e4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作成日時:2023年10月25日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。