世界の果てまで。【カントー地方編】 (ページ14)

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カントー地方　№12 ページ14

戦闘不能になってしまったアブソル。Aはアブソルに近づき、頭を撫でた

大好きな相棒の手の温もりを感じ、アブソルはゆっくりと目を開ける

Aの顔は、悔しそうに歪んでいた

『ごめん…私が考えるの遅かったからだよね……大丈夫。次で勝つから』

アブ「ホルワ…」

アブソルはボールにあまり入りたがらない。なぜなら、Aと色々な景色を共有したいから

その意思をずっと前から知っているAは、アブソルを抱きかかえ、レッドに預ける

その顔は暗く沈んでいて、手は、焦りで震えていた

『行くよ、フシギダネ！』

フシギ「ダネッ！」

フシギダネは、自分のお兄ちゃん的存在の敵を討つために、燃え上がっている

一方、Aは焦っていた。どうやったら“しめつける”に対抗できるのかをずっと考えている

しかし、時は待ってはくれない。直ぐにバトルは再開してしまった

タケシ「イワーク！もう一度しめつけるだ！」

『フシギダネ！避けて“つるのムチ”！』

フシギダネは指示通りに動くが、つるのムチでは、イワークの硬くて大きい体には対抗できなかった

イワークの尻尾はフシギダネに迫り、避けられなかったフシギダネは、あっけなく捕まってしまう

『(まずいッ…このままじゃさっきと一緒だ。どうする、どうする…考えろ…！)』

焦りで周りが見えなくなっているA。そんな時、物心つく前からずっと聞いていた

感情が籠っていないようで、誰よりも優しい音の声が、Aの耳に入った

レッド「A、焦らないで。…周りをよく見るんだ」

『レッド……』

その声はとても小さく、よく聞かないと聞き取れないほどの声量だったが

Aにははっきりと聞こえた

Aは前を向き、周りをよく見渡す。ここは小さな岩が連なる、岩のフィールド

Aはよく観察した。どうすればいいのか。今度は焦らず、かつ速やかに

『(そうか…！)フシギダネ！藻搔いちゃダメ！イワークに身を預けてッ』

フシギ「ダネ…！」

フシギダネは言われた通り、イワークに身を預け、リラックスした状態になる

『そしたら、めっちゃデカい“なきごえ”！』

フシギ「ダァ……ネーーーーッ！！！」

鼓膜が破けそうなほど大きななきごえを出したフシギダネ。これはイワークも耐え切れず

尻尾を緩めてしまう。その隙を、Aは見逃さなかった