【短編集】Kiss me good night【衣更真緒】 (ページ2)

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「まおくん、まおくん」

朝だよ、真緒くん

あどけない寝顔にそっと手を這わすと彼は私の手首を優しく掴み、そのまま恋人繋ぎのかたちに指を絡ませてゆく。
ぱちりと真緒くんは目を開き、至近距離で目が合った。

「起きてたの？」

「ん…一応、な」

柔らかい日差しが部屋に入り込み、幸せな空間を演出させる。まるで2人だけのスポットライトみたい。

「でもまだ眠そう」

小さな声でそう言えば、眠いと返す彼。

少しの沈黙の後、そのまま真緒くんは繋がれた私の手を引き寄せ、手の甲に優しく触れるだけのキスを落とした。

「ま、まおくん…！」

「ん？」

誤魔化すように、目を細めてはにかんでいた。

頬はほんのり赤く染っているように見えた。

更に私の手を引き、身体ごと正面から抱き寄せられる。
キスをされた私の手は熱かった。

「もうちょっとだけ…こうしてたい」

とだけ言い、真緒くんは私を抱きしめながらも再び寝息を立て始める。

私は抱き枕じゃんないよ真緒くん…なんて、嬉しい自分もいた。