第一章:五話【発見】 ページ7
「ありゃ? 天導衆からの使いは一人だと聞いてたんだがな、まさか」
______こんなひょろっちいのと子供だなんて。
【春雨】を構成する夜兎、赤茶の番傘は彼らの証明印のようなものかと思っていたが、それよりも見事な肌と瞳である。もう少し若ければ良かったのに、と雪暗は一人落胆する。
真鶸に同行を懇願された後、自分も状況を呑みこめておらず、どうして潜入すべきかが分からぬ旨を彼に打ち明けた。真鶸は小首を傾げ、ふと漏らす。
「潜入には相手側の協力者が必要ではありませんか?」
「まあ、そうかもしれないけど」
「でも、天導衆と春雨って、裏で繋がりを持っていたような……」
雪暗は床下が抜けるような思いでくらりとした。それなら潜入なんていわないだろうと、あの少女を呪ってやりたくなった。
「公認か。裏切りだね」
真鶸は頷く。彼を連れて行くことに幾らか利を覚えたので、自分の頭が回らない分は真鶸に補ってもらえるだろうと気分は晴れやかだった。
「雪暗と真鶸、だっけな」
「そう、どうもね」
僕の方が年上じゃないのか、雪暗はふと思う。しかしそれを表には出さなかった。
「俺は阿伏兎ってんだ」
「アブト……?」
真鶸はさぞ不思議だというように呟く。
雪暗の耳元で
「アブトって、変な名前ですね」
と笑った。
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NIGちゃん(プロフ) - 続き please with me〜 (2018年3月18日 19時) (レス) id: 16ef5289db (このIDを非表示/違反報告)
夏拍子。 - 有難うございました! 文才は付けたいところですが、嬉しいです。 (2017年12月10日 12時) (レス) id: 787c153b6f (このIDを非表示/違反報告)
アユ - 素敵です!超文才ありますね!尊敬しますーっ! (2017年12月6日 22時) (レス) id: adf483369d (このIDを非表示/違反報告)
夏拍子。 - のむたす様、有難うございます。小説拝読させていただいております。 (2017年12月6日 20時) (レス) id: 787c153b6f (このIDを非表示/違反報告)
のむたす - 続きはよー (2017年12月5日 21時) (レス) id: 59b19365bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:11 | 作成日時:2017年12月4日 23時