検索窓
今日:5 hit、昨日:7 hit、合計:4,509 hit

四十五章 ページ22

銃声


突然響いた音と同時に
田口の胸から鮮血が飛び散り倒れた。


「______」


「なっ!?六坊!!」


虚子は田口を抱き上げ、
容態を診るもドクドクと止まらない血と
見事に撃ち抜かれた胸に時間が無い事を悟る。

太宰は銃の安全装置を外しているものの、
それを構えてすらいないから撃つことは出来ない…
なら______

ふと入口の方向からやけに澄んだ女性の声が響いた。


「“申し訳ありません……国木田様”」


コツコツと音を鳴らし、
影から見覚えのある女性が拳銃を向け乍ら現れた。


「貴女が、“蒼の使徒”か」


「はい」


「佐々城さん。
貴女が凡ての計画者だ。
それは……認めるのだね?」


その女性、佐々城信子は
国木田の問いに凛とした声で答え
銃口を太宰へと向けた。


「太宰様。御願いが御座います。
銃を……お捨てになって下さい。
でなければ」


「捨てるよ。
その代わり、幾つか質問をしてもいいかな」


「構いません。
何でもお答え致します」


「判った。じゃあ銃は捨てよう」


太宰は銃を捨てた。
それにより乾いた音が響き、
銃は虚子の直ぐ目の前に転がった。


「佐々城さん。
貴女は何故、探偵社を狙ったんだい?」


「太宰様は_____既にご存じかとお見受けしますが
勿論、高浜様も」


「……その若さで
犯罪心理学で優秀な研究者になるのも頷けるな。
……俺らの前では敢えて隠していたみたいだが、
頭の回転は群を抜いてる。」


「貴女のやりたかった事は二つ。
犯罪者への断罪と、探偵社への復讐。
そうだね?」


“この方法しか……思い付きませんでした”
そう言った彼女の顔は哀愁を帯びており、
虚子は痛々しげに目を伏せる。


「死者の為に意味はないと解っていてもやる。
それが復讐だ。
後には何も残らず、虚無感だけが自分を支配する。

……佐々城信子さん。貴女は非力な人だ。
だがその代わりという様に優れた頭脳と、
犯罪に関する知識を豊富に持っていた。

それを使って起こった事件が“蒼の使徒”事件。
今回の騒動だ。
貴女ならあの巧妙な手口を容易く思い付け、
犯罪者に犯行をさせたんだ。
それが断罪に繋がると、確信してな」

四十六章→←四十四章



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.9/10 (8 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
31人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

スート(プロフ) - セレーナさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると嬉しい限りです!もうちょっと増やせるように頑張りますが…恐らく次回になりそうです… (2019年12月23日 9時) (レス) id: 1c1bb3d8a6 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ - 面白い作品ね。だから碧ちゃんと太宰さんとの絡みをもう少し増やしてほしいわ (2019年12月23日 1時) (レス) id: c6e49e4b0b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:スート | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年10月12日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。