四十五章 ページ22
銃声
突然響いた音と同時に
田口の胸から鮮血が飛び散り倒れた。
「______」
「なっ!?六坊!!」
虚子は田口を抱き上げ、
容態を診るもドクドクと止まらない血と
見事に撃ち抜かれた胸に時間が無い事を悟る。
太宰は銃の安全装置を外しているものの、
それを構えてすらいないから撃つことは出来ない…
なら______
ふと入口の方向からやけに澄んだ女性の声が響いた。
「“申し訳ありません……国木田様”」
コツコツと音を鳴らし、
影から見覚えのある女性が拳銃を向け乍ら現れた。
「貴女が、“蒼の使徒”か」
「はい」
「佐々城さん。
貴女が凡ての計画者だ。
それは……認めるのだね?」
その女性、佐々城信子は
国木田の問いに凛とした声で答え
銃口を太宰へと向けた。
「太宰様。御願いが御座います。
銃を……お捨てになって下さい。
でなければ」
「捨てるよ。
その代わり、幾つか質問をしてもいいかな」
「構いません。
何でもお答え致します」
「判った。じゃあ銃は捨てよう」
太宰は銃を捨てた。
それにより乾いた音が響き、
銃は虚子の直ぐ目の前に転がった。
「佐々城さん。
貴女は何故、探偵社を狙ったんだい?」
「太宰様は_____既にご存じかとお見受けしますが
勿論、高浜様も」
「……その若さで
犯罪心理学で優秀な研究者になるのも頷けるな。
……俺らの前では敢えて隠していたみたいだが、
頭の回転は群を抜いてる。」
「貴女のやりたかった事は二つ。
犯罪者への断罪と、探偵社への復讐。
そうだね?」
“この方法しか……思い付きませんでした”
そう言った彼女の顔は哀愁を帯びており、
虚子は痛々しげに目を伏せる。
「死者の為に意味はないと解っていてもやる。
それが復讐だ。
後には何も残らず、虚無感だけが自分を支配する。
……佐々城信子さん。貴女は非力な人だ。
だがその代わりという様に優れた頭脳と、
犯罪に関する知識を豊富に持っていた。
それを使って起こった事件が“蒼の使徒”事件。
今回の騒動だ。
貴女ならあの巧妙な手口を容易く思い付け、
犯罪者に犯行をさせたんだ。
それが断罪に繋がると、確信してな」
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スート(プロフ) - セレーナさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると嬉しい限りです!もうちょっと増やせるように頑張りますが…恐らく次回になりそうです… (2019年12月23日 9時) (レス) id: 1c1bb3d8a6 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ - 面白い作品ね。だから碧ちゃんと太宰さんとの絡みをもう少し増やしてほしいわ (2019年12月23日 1時) (レス) id: c6e49e4b0b (このIDを非表示/違反報告)
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