第五十一話 ページ4
「お腹空いたなぁ」
ぐぅ、と鳴る腹をさすり、朝の支度を済ませる。
カタン、と武器を手に取り部屋で栽培している食用植物を口に入れる。
群生していたこの植物は、暖かいと赤い実が、寒いと青い実がなるなんとも不思議な植物だ。
青い実はなんとなく食欲をそぐが、味は意外と美味しいので問題は無い。
最初に見つけた食用植物は味覚を操作してまで食べていたが、これはその必要がないので楽だ。
空腹になるだけなので栄養は考えなくて良い。
食べられるものを日々探している。
………………
「ぉ…」
冬も終わりかけ。
雪解けの地面を歩いて緒の浜の見回りをしていると、ずずっ…と動くものが目に入った。
宝石だ。
駆け寄ると、それは二人いた。
オレンジピンクと、無色透明な二つの宝石。
モルガナイトとゴーシェナイトだ。
「もう そんなに」
モルガとゴーシェが月に行って十二年、経ってしまったということだ。
透明なゴーシェナイトが私のほうにずるずると近付いてくる。
先生に、報告せねば。
………………
「入れ替わるように同種が生まれるのは」
「とても珍しい」
「二人も」
「ですね」
軽く形を整え終わり、二人の宝石は眠っている。
その傍らに私とカンゴームと先生が立っている。
「末っ子脱却だな」
「ね」
宝石が生まれる瞬間を見たのは初めてだ。
これから教育が始まるのだろう。
仲良くせねば。
そっとモルガの頬に触れてみる。
フォスと同じく、生気を感じない。
宝石には体温も無く、寝息も無いので文字通りぴくりとも動かない。
私は今後この子達と話して、触れて、共に生きていくのか。
そんなことを微塵も思わせない二人の宝石は、今も静かに眠っていた。
………………
久しぶりにフォスの寝台へ訪れた。
カンゴームは定期的に通っているそうだが、私はあまり来ていない。
理由は…とくに無いが。
顔の布をめくって、様子を見る。
末っ子二人と同じように生気を感じない。
未だに起き上がる様子は無い。
二人が生まれたということは、フォスが起きるまであと七十年だ。
なんだかんだあれから三十二年。
不老不死に不安があった私だが、いまの自分を見るに信じるしかない。
この世界へ来たときと全く変わっていないのだから。
人間としての年齢を考えると…
恐ろしくなるので、やめることにする。
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翡翠(プロフ) - イルカさん» 月衣装載せました！ 第八十九話をご覧ください (2022年11月27日 21時) (
レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - イルカさん» あります！が、かなり前に描いたものなので修正してどこかにアップしようと思います。その時に伝えさせていただきます！ (2022年8月10日 13時) (レス) @page50 id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
イルカ - 夢主の月の衣装イラストありますか？ (2022年8月10日 12時) (レス) @page42 id: 1a3e622205 (このIDを非表示/違反報告)
イルカ - 夢主の月の衣装 画像のっませんでしたか？か？？ (2022年8月10日 2時) (レス) @page42 id: 1a3e622205 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 氷空音さん» コメントありがとうございます。私もそう思って書き始めただけの自己満足作品なので、これだけhitが付いて驚いてます。遠からず終わってしまいますが、お付き合いいただけたらと思いますm(__)m (2021年1月21日 22時) (レス) id: 845110876f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2020年11月25日 19時
