349話 ページ17
「そういうの、人前ではやらないようにね」
「できるかい」
血を赤く変える能力が欲しい。
…え、普通にありそう。
「まぁ…バレたらバレたでって感じ」
帳に手を当てて呪力を込めると、バシュッという音と共に森に明るさが戻る。
私と特級の呪力が消えて低級の呪霊がちょっとずつ出てきたけど、最初の濃い呪いの気配と比べたら幾分かマシなものだ。
外で待機していた補助監督の早川さんに会釈し、車に乗る。
「お疲れ様です。お怪我などはございませんか?」
「全くもって」
「無事で何よりです。出発します」
今回は村の伝承によって生まれた呪霊だが、村への説明は必要ない。呪霊による村の被害は何もないから、知らぬが仏的なお話だ。
「あんたらが噂してるせいで侍のお化けが出た」なんて言ったら逆に噂が大きくなってしまう。
呪術界が一般人に呪霊の存在を隠してるのと同じことだね。
呪霊の存在が公になれば、呪霊を恐れる気持ちでまた呪霊が生まれてしまうから。
公に出来ないせいで人手不足なんだけど。
「呪霊、いつか見せてよ。後ろ姿しか見てないから」
「いいよ。事前申告してからね」
「やったー」
高専の結界内で未登録の呪力が発生すると警報が鳴ってしまうから、夏油は呪霊を出す前に申請してるらしい。私の式神もだめなのかな?
警報というか呪力異常だったけど、まじビビったんだから。
「…もう二時かぁ。ぐぬぬ、午前の授業が……」
夏油のガラケーの時計を覗いて気付く。
まぁ受けなくても問題ないことばかりだけど、学生の本分は勉強じゃん?
呪術のお勉強以外に一般教養も学ぶからなぁ。
面倒くさいけど。
「特級は忙しいからね。仕方ないよ」
「卒業したら任務増えるのかな」
「授業が無くなるから、増えるだろうね」
卒業までいる気はないけどね。
一応帰るための方法を探さないとな。
とりあえず沖縄に行って……あの建物があるかどうかだ。
築何年なんていう情報は書いてなかったし、ウーン。
あのマンションが無ければ振り出しだな。
「……A?」
難しい顔で黙り込んでいたせいで、夏油が心配そうな顔で私の顔を覗き込んだ。
「んや、帰れるんかなあって思って」
「……あぁ、そうだね。私も手伝うよ」
補助監督さんがいるので詳しい話は出来ないが、夏油が協力の申し出をしてくれた。
「少し寂しいけどね」
と、夏油は眉を下げて笑った。
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翡翠(プロフ) - と_うり@ 占ツクイラスト集以外更新停止中さん» ですね😂最初のほう以外の補監はみんなチェンソーマンですw (2022年11月10日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 抹茶は正義!さん» コメント見落としてました!すみません!🙏進みます! (2022年11月10日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
と_うり@ 占ツクイラスト集以外更新停止中(プロフ) - 補助監督チェンソーマン!? (2022年11月10日 17時) (レス) @page19 id: a0d0d4f671 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶は正義! - うわあ、これからそのまま進んでいく原作は主人公ちゃんにとってつらいだろうなあ、、、がんばれええ! (2022年8月3日 0時) (レス) @page49 id: 8015273a92 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - いーすとさん» ありがとうございます!!嬉しいです、私も読者の皆様を愛しています!!🥰 (2022年8月1日 23時) (レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2022年6月15日 22時