130話 ページ37
「夏油ちん、私に憑いてるったってある程度は自由に動いていいからね?」
皆がいなくなった後、二人きりになった私達は話す。
人がいるところではあんまり話せないのでこういうときに話すことは話しておかなければいけない。
と言っても私が人目を気にしなければいつでも話せるんだけど。
「君しか話す相手もいないんだから、私だけでどこかへ行っても仕方ないだろ?」
「…家族の様子とかさ、なんかないの? 気になること」
ミミナナ、ミゲル、ラルゥ…あと分かんないけど。
百鬼夜行の後、皆は一斉に逃げた。
無事なことは確かだが、夏油が気に掛けないとは思えなかった。
「心配してないといえば嘘になるけど、こんな私が行ったところで手助けもなにもできないからね。君が行ってくれるなら助かるけど」
「まぁ、それは気が向いたときにでも」
なんにしろ渋谷事変でみんな再登場する。
一部は死んでしまうけど…
「……ん、そうだ」
思い立ったら吉日で、鵺の式神を出す。
「どこ行くんだい?」
「暇じゃん? 今」
鵺の式神に乗って、することの無くなった高専から離れる。
夏油は実体がなく誰も触れられないが、例外はある。
その一つが私。それから私の出した式神にも触れられる。
「意外と快適なんだね」
「うん、風除けもしてるしなぁ」
あっという間に着いたのは新宿。
人の少ない広場のようなところに着地してもらった。
鵺から降りて辺りを見渡す。
あれだけ大暴れがあったあとだから、そりゃあもう酷い有様。どう処理するんだか。
チラホラと呪術師がいる中、見知った顔を見つける。
「いーじちさん」
「? …あぁ、Aさんでしたか」
スマホでなにか連絡を取っていた伊地知さん。
それが終わったのか、声を掛けた私に振り向いた。
「大変だねー頑張れ。疲労回復」
「あ…ありがとうございます…」
意味があるのか分からないが、反転術式を使った。
これから多くの呪術師や補助監督が百鬼夜行の後処理で追われるだろう。
ただでさえ忙しい伊地知さんはそろそろ倒れてもおかしくないんじゃないかと思う。自分の体を大事にしてほしい。
「…よし、もっかい行くよ」
もう一度鵺に乗り、次は京都へ向かう。
むしろこっちが本命だ。
またもやあっと言う間に着いて、目的の人物を探す。
「…何をしているんですか?」
キョロキョロする私に声を掛けてきたのは、ナナミン。
その後ろには勿論、灰原くんもいた。
574人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翡翠(プロフ) - とぅにさん» なんのことかと一瞬考えましたが吉田ですねwwちょくちょく別作品キャラおります。 (7月3日 2時) (レス) @page22 id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
とぅに(プロフ) - ヒロフミくん出てきてびっくりしました☺️☺️ (7月2日 23時) (レス) @page21 id: 76d074d926 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 水泳進化人さん» コメントありがとうございますm(_ _)m返信遅れて申し訳ないです。自分が読みたかった話を書いて、好きだと伝えてくださる方が多く、私と同じ方が他にもいたんだなととても嬉しく思います…!! (2022年3月3日 20時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
水泳進化人(プロフ) - 好きです。 (2022年2月25日 14時) (レス) @page40 id: 30ca69ad2f (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございますm(_ _)mとても嬉しいです! (2022年2月7日 22時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:翡翠 | 作成日時:2022年2月3日 2時