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28話 ページ34

「例えばさ、人間にオリジナルの怖い話をする。その話を人間が恐れたら…」

「そだね。私の術式として使えるようになる。…真人、ハンモック貸して」

「いいよ。

ホントになんでもありだよね。
使いたい能力と、それになぞらえた話をすれば使えるようになるんだもんね?」



真人が避けて半分空いたハンモックに乗った。

ぎ、と網が音を立てる。



「ま、そんなことしてもまともに使えるレベルにはならないけどね」



学校や病院のような、負の感情が集まりやすい場所に呪いはより発生する。

たった数人に話した程度では、クソ弱い能力がポンと生まれるだけだ。

逆に言えば、有名な話ほど術式は強くなる。



「インターネットに流したら直接話すより広がりそうだ」

「話の出来によるよ。
ただ一度流行ればそれは絶対に完全には消し去ることができない。ネットって怖いよね〜」

「さすが元人間だね」

「…関係なくない?」



真人が本を開いた。



「珍しい。いつもは大体難しい文学本とかなのに」



真人が手にしていたのは、所謂ライトノベルというやつだ。
それもしっかりアニメ化している有名なやつ。



「こういうのもたまにはいいと思ってね。人間の文化は面白いよ」

「そう?」



人間社会で生きていた私にとっては、生活の全てが当たり前のように過ぎていくのでなんとも思わなかった。



「こういう本もいくつか読んだけど、このシリーズが一番面白いかな」



今真人が読んでいる本の、別の巻を手に取った。

この世界はまだ2017年なので、当たり前だが私のいた時代より物語は進んでいない。



「主人公が愚かでね。そのせいでいろんな挫折や絶望を味わうんだけど、それでも自分を顧みず他者を優先的に救おうとする」

「うん、まぁ前世で読んでたから知ってるけど。最初の頃の自己中な主人公はちょっと嫌いだったかな」



腕を組んでうんうんと頷く。



「それからいろいろあって徐々に変化、成長していくって描写が俺は好き。人間らしくて」

「私もそれは好き。
ていうか真人、好きな理由それだけじゃないだろ」

「あっはは、バレた?」



話しながらでも読み終わったらしい本を閉じて、次の巻に手を伸ばした。



「主人公が何度も死ぬだろ? その描写が人間が死ぬときはこんな感じなのかなって想像が膨らんで楽しいんだ。

主人公が人間臭いから尚更さ」

「楽しみ方がこわぁい」

29話→←27話 -呪詛師-



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翡翠(プロフ) - まるめんさん» ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです (9月9日 16時) (レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
まるめん - 夢主イメージイラストうますぎません???お話も面白いです (9月9日 15時) (レス) @page19 id: 17d5d6def1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございますm(_ _)mすみません、その作品は存じ上げないですね…! (2022年4月20日 15時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 青龍、玄武、白虎、朱雀って「異世界で神獣にハメられました。」で見たぁ! (2022年4月20日 0時) (レス) @page33 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございますm(_ _)m一日一話がんばります! (2021年12月27日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月15日 1時

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