27話 -呪詛師- ページ33
「行ってこーい!」
四つの生き物が私の足元から生まれ、各々が各地に散らばった。
夏油を探すための式神たちだ。
「それ、人探しに使うような生き物じゃないだろ」
ハンモックで読書をしていた真人が、式神たちの去っていく姿をじっと見ていた。
「私の"
先程の四つの生き物は、四獣というものだ。
有名だからアニメ文化にある程度触れている人間なら分かる人も多いかもしれない。
玄武、白虎、青龍、朱雀だ。
青龍と朱雀に上空から、玄武と白虎に地上から探してもらっている。
「優秀とかそういうこと言ってるんじゃないけど…」
「まぁいいよ。結果見つかればいいんだから」
結界のような特殊な隠れ方をしていたとしても、私の式神たちなら難なく見つけてくれる。破るのは無理だけど見つけるだけなら楽勝だ。
普通の鳥や虫などを使わなかったのはそのため。
「でもさぁ、呪術師最強だっけ? ソイツに勝ったならいくら強い呪詛師と戦ったって意味無いんじゃない?」
ちなみに真人には、強い呪詛師の情報を手に入れたので会ってくる、と伝えてある。
あの廃校であったことは話したが、今の真人は戦うことにあまり興味が無いようだ。
快楽として戦うのではなく、自分の起源である人間を深く理解するために。
だから最近いなくなるのは、本の調達か映画を見に行くためらしい。
そのとき妖怪や伝説の描かれた本を見つけたら、私のためにと時折持ってきてくれる。
「最近は捗ってる?」
「うーん、どうだろ。広く浅くにならないように、ひとつずつ深く知識を飲み込む必要があるから、ちょっと停滞してるかも」
「いっぱい使えるって言うのも大変だね。
そう考えると、扱い方によっては単純な術式のほうが強くなる」
真人の持ってきた本を読んで、そこに登場する伝承を試していく。
ただ試すだけでは“使えるだけ”になってしまうので、それがどういうもので、どう使えるのか。
それらを良く知ることが重要だ。
「Aの術式は、人の認識によって広くも狭くもなる。
例えば…“愛”や“憎悪”のような感情だって、人間の認識次第でAの術式に変化する」
「物語なんて、人間がいくらでも書き増やせるもんね」
ただのありふれた作り話。
それらは全て私に反映される。
全て把握するなんて不可能だ。
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翡翠(プロフ) - まるめんさん» ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです (9月9日 16時) (レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
まるめん - 夢主イメージイラストうますぎません???お話も面白いです (9月9日 15時) (レス) @page19 id: 17d5d6def1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございますm(_ _)mすみません、その作品は存じ上げないですね…! (2022年4月20日 15時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 青龍、玄武、白虎、朱雀って「異世界で神獣にハメられました。」で見たぁ! (2022年4月20日 0時) (レス) @page33 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございますm(_ _)m一日一話がんばります! (2021年12月27日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月15日 1時