15話 ページ21
「また一勝っと」
そろそろいっぱいになる紙に、新たに私の勝利を書き足した。
「いい加減俺相手じゃ満足出来なくなってきてるだろ」
「分かる?」
今回はメデューサで石化させた。
石を破って出てくる真人が、頭に残った石をはたき落とす。
「俺結構本気出してるんだけどなぁ」
「だろうね」
とはいえ今の真人はまだ呪いとして不完全だ。
真人が成長するのは順平の一件、そして渋谷事変なので、あまりやり応えがなくなってきた。
遍殺即霊体くんと戦ってみたい。怖い。
「もっと強い呪いのお友達いない?」
「いたら初めから紹介してるよ」
「そりゃそうかー」
いっそ高専に乗り込もうかなどと素っ頓狂な考えが浮かんだ。
「…あ、Aー」
「なに?」
どこから入手したのか、持っていた新聞を私に見せた。
横から覗くように読む。
「“幽霊の仕業か? 行方不明者多発、テレビ番組で取材も連日”うんたら…」
「良さそうじゃない?」
「呪霊がいるって?」
「そうだよ」
新聞を受け取ってもう少し詳しく読んでみる。
場所は山奥の廃校、いかにもって感じだ。
俗に言う心霊スポットで、テレビの取材や個人の肝試しで入り込んだ人間がことごとく不幸に見舞われるそうだ。
「そりゃこんなの確実にいるだろうけど」
「うん。だからさ、こういうの何ヵ所も行けばそのうち強い呪いと会えるんじゃない?」
「まじで言ってんのかよ」
モノクロの写真にある建物は、見るからに“出る”って感じで気味が悪い。
「今の君は呪いなんだから、オバケなんて怖くないだろ?」
「まぁ…恐怖の対象ではないけど。私が怖いのは一人で廃校に忍び込むことね?」
この世界じゃ呪霊の存在がオカルトを肯定しているが、私自身が呪霊なのでそれは正直怖くない。
「肝試しで出てくるオバケ」じゃなくて「肝試し」が怖いんじゃん。
「そんなこと言ってたらずっとこのままだよ〜」
「ぐぅ…」
「ギリギリぐうの音出てるし」
もっと上に行きたいと言いつつ、行動を制限していては矛盾。何も反論出来なかった。
「もー! 分かったよ、明日から動く。その代わり真人は一人で留守番なんだからね!」
「ははっ分かってるさ」
面白がって笑う真人を凍らせて、定位置となったハンモックによじ登り寝転がった。
「つめたっ…容赦ないなぁ」
「いい加減自分の寝具ほしいなぁ」
「無視?」
1493人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翡翠(プロフ) - まるめんさん» ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです (9月9日 16時) (レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
まるめん - 夢主イメージイラストうますぎません???お話も面白いです (9月9日 15時) (レス) @page19 id: 17d5d6def1 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 茨の谷の第二王子さん» コメントありがとうございますm(_ _)mすみません、その作品は存じ上げないですね…! (2022年4月20日 15時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
茨の谷の第二王子 - 青龍、玄武、白虎、朱雀って「異世界で神獣にハメられました。」で見たぁ! (2022年4月20日 0時) (レス) @page33 id: d096c6aa19 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございますm(_ _)m一日一話がんばります! (2021年12月27日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:翡翠 | 作成日時:2021年11月15日 1時