【呪術廻戦】呪霊に転生したらしい。【1】

6話 ページ8

真人と話すことには慣れてきたようで、うるさかった心臓がようやく収まってきた。



「改めて、私はAです。よろしく、真人」

「よろしく、A」



ぎゅっと手を握る。

推しに名前呼ばれて、推しと握手して、贅沢。
やっぱり推しは可愛い。愛おしい。


私が悶々としていると、真人が立ち上がる。



「真人？」

「A、さっそくなんだけどさ」

「？」



おえっと口から改造人間を吐き出した。

直接見るとちょっと気持ち悪い。



「これからはこれ(改造人間)とか使ってさ、Aの術式とかを調べようよ」

「…確かに、私が一番気になる」



自分がなにから生まれた呪いで、どんな術式なのか。

五条悟の六眼で見てもらうのが一番手っ取り早いんだけど、私呪霊だしなぁと凹む。

呪いの私では呪術師サイドと仲良く出来ないのか…



「その前に、なにかメモするものが欲しいよね」

「確かに…分かったこと書いてきたいね」



石で壁に刻むとか方法はありそうだけど……



「じゃあさ、A。持ってきてよ」

「…私が？」

「うん。呪い生活の第一歩ってことで」



真人が言いたいのは、「店から盗ってこい」ということ。

真人も映画を見るときはお金を払わないし、本も買っているわけではない。

…所謂万引きというやつだ。



「大丈夫だって。ほとんどの人間には見えないんだから」

「でもま、ど………見える人間がいたら？」

「その辺は気をつけてね」

「マジかよ」



じゃあ行っといで、とヒラヒラ手を振ってハンモックに登ってしまった。

一人行動…
不安になってソワソワしつつも、仕方なくトンネルを出る。


この辺で筆記用具を売ってる近いお店と言うと、どこだろう。生憎東京の地理に疎い。


適当に散策して、百均でも見つかれば万々歳だ。


人の目を気にしなくていいので、遠慮なくキョロキョロうろうろしながら店を探した。



「うーん…無いなぁ。飲食店、服屋、ここはアクセサリーショップかな」



ブツブツ独り言も許される。
さっそく呪霊生活をエンジョイしている気がする。


ついでなので無料の充電スポットでスマホを生き返らせる。


途中にあった服屋の鏡で、身だしなみを整えた。



「髪の毛多いなぁ。重たい」



ポニーテールを結び直す。服は別に変えない。

黒いタートルネック…
全身黒ずくめという、呪術廻戦っぽいこのデザイン。

顔はめちゃくちゃ可愛いと思う。
鏡に知らない人が映っているのは変な感じだけど。

7話→←5話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す