第三十九話 ページ41
「フォスフォフィライトには」
「ラピス・ラズリの頭部を接合した」
広場に宝石たちを集めて先生が話をした。
皆驚いているようだ。
これから、眠り続けるフォスを部屋に運ぶことになった。
「頑張ったな」
ペリドットが憂いの目を向ける。
「まあ 少しなら 休んでよし」
イエローも微笑みを浮かべる。
「少しだけよ」
ダイヤも近付いて微笑む。
………………
手のあいた者でフォスを運んだ。
ベッドごと包める大きな布を、ルチルとジェードが被せる。
これから数百年。
フォスが目覚めるまでの期間だ。
さて、ここでどうしようかと考える。
これまでは短期間で物事が起こっていたため問題はなかったのだが、数百年ともなると当然人間の私は生きていられない。
ひとまず外に出て考える。
学校から少し離れた、緒の浜より少し手前＿西の浜。
普段はミントブルーの美しく穏やかで浅い海が広がっているが、季節の影響で広範囲が凍っている。
反射する白い光がとてもまぶしい。
他の宝石たちは冬眠のための準備をしている。
それを放り出して出てきたのは若干の罪悪感が残るが…
私は浜に立ち、空を見上げる。
心の中で呼びかけた。
「なぁに？」
軽い返事が頭に響いた。
私を送った少年の声だ。
連絡が通じたことに安堵しつつ会話をはじめる。
「時間を飛ばすことはできないかな」
内容は、これからの数百年について。
私がそんなに過ごさなくてもいいよう、その時を飛ばせないだろうかという願い。
だが、それはできないと断られる。
それは、世界を曲げることになるから。
すべてを歪ませることで時間を飛ばすことはできる。
ただ、一度歪んだものはもう二度と直すことができない。
取り返しは、つかない。
という理由で、私はどうしようが数百年(少年に聞いたら百二年だそうだ)の時を過ごさなくてはならないようだ。
「ごめん ありがとう」
久々の会話だったが、ここで終わりだ。
だがもうひとつ考えがあった。
それは、私自身を不老不死にすること。
望んだものを手に入れられる私には可能であり、もとに戻ることだってできるはずだ。
少年との相談で時間は飛ばせないと分かり、そうすることを余儀なくされた。
「はあ」
「私は 不老不死になるよ」
そう、だれもいない浜辺で呟くと
淡い光が私を包んだ。
気がした。
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翡翠(プロフ) - おうるさん» コメントありがとうございます。更新が遅くて申し訳ないです…。励みになります。 (2019年11月19日 19時) (
レス) id: 845110876f (このIDを非表示/違反報告)
おうる(プロフ) - めっっっっちゃこの作品好きです!!!!!更新頑張ってください!!(*^^*) (2019年11月19日 18時) (レス) id: 3d90f48b0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2019年8月14日 2時
