第三十五話 ページ37
それは足場のようだった。
無数の黒い雲の塊が足場になって散らばっていた。
フォスも私も他の宝石も、ただ見ているだけだった。
小さいなにかが入れ物に持った指をいれた。
小さいなにか、
それは先のボードゲームの駒に手足がついたものだった。
「指揮しろって」
カンゴームがフォスに声をかける。
気が付いたフォスが、スフェンとペリドットと私に破片を集めるよう指示した。
細かい破片を拾いつつフォスを見る。
合金の足をのばしてペリドットの指を取りにいく。
が、フォスが散った。
カンゴームが助けに行く。
私たちもそちらへ急ぐ。
「踏んで！」
合金を限界まで広げ、即席の足場が出来上がった。
それを踏んで、飛び上がる。
ぐに、と嫌な音がするが気にしていられない。
合金を踏むとこんな感触なのか。
だが届かない。
すんでのところで避けられる。
動くたびにフォスが変な声を上げるのが気になって仕方ない。
「うわっ」
ペリドットが声を上げた。
他の宝石たちも欠けたところへ駒が張り付く。
多すぎる駒に宝石が悲鳴を上げる。
ただ、私のほうへ来てがっかりして離れるのはやめてもらいたい。
フォスが合金を縮めて皆地面に降りる。
とられた破片は一度に集められていく。
「近づかなければ止まってるし」
「先生を待つってのは？」
「それ採用！」
スフェンが案を出し、フォスが賛成した。
雲の上から、また新たに黒点があらわれた。
少し大きい月人が、集めた破片を手に取った。
フォスが独断で取り返しに行く。
私も続き、底上げした脚力で飛び上がる。
「あ まずい」
危機を察した私だけ空中で方向転換し、距離をとった。
月人が落とした破片が、飛び上がった宝石たちを散らせる。
腕が、足が、顔が
胴が、頭が、武器が
全てが壊される。
矢を構える月人。
フォスが上に這い上がり
カンゴーム、スフェン
その上にフォス。
三人が
貫かれた。
(その程度？)
(程度じゃない)
(僕の考えは何もかも間違えだ)
(頭が悪い 結局みんなを)
(月へ)
ボルツ、ダイヤ、メロンが月人の上で武器を構えていた。
近くの木々を足場に私も再び飛び上がる。
矢を構える月人に剣を振る。
合間に、皆の欠片を拾い集める。
「む〜っ」
「おこった！」
メロンの髪が電気を帯びる。
メロンの放電で
ほとんどの月人が霧散した。
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翡翠(プロフ) - おうるさん» コメントありがとうございます。更新が遅くて申し訳ないです…。励みになります。 (2019年11月19日 19時) (
レス) id: 845110876f (このIDを非表示/違反報告)
おうる(プロフ) - めっっっっちゃこの作品好きです!!!!!更新頑張ってください!!(*^^*) (2019年11月19日 18時) (レス) id: 3d90f48b0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2019年8月14日 2時
