第三十話 ページ32
「嫌い ではない」
「あいつを」
「ゴーストを 月へやったこいつが」
「許せないだけだ」
そういう黒ゴーストの目は、どこか別のものを見ているようだった。
それからやることもなくぼーっとしていると、フォスが目を開き、勢いよく起き上がった。
「また 夢か」
「こわ……」
「気がつきましたか」
フォスの目に、座るルチルと私、その後ろに立つ黒ゴーストが映った。
フォスは叫んだ。
………………
黒ゴーストがフォスを連れていったので、私は部屋に戻ることにした。
ぼす、とベッドに腰かけると、誰かに呼ばれた気がした。
誰かいるのかと思ったがどこにも見当たらない。
目に入るのは、小さめの机に三つ脚の腰掛け椅子。
それに立て掛けてある武器。
月明かりに照らされるそれら以外には、なにもないはずだ。
こんな夜更けに廊下に誰かがいる可能性も考えられない。
「聞こえているか？」
今度ははっきりと声が聞こえた。
少し低めな女性…というより女の子の声。
少なくともこんな声の宝石は把握していない。
つまりそれ以外のなにかが いる。
「…だれですか？」
試しに問いかけてみるが、それ以降返事はなかった。
………………
朝になり、目をあける。
さっと支度をし、外に向かう。
今日も晴れやかな一日になりそうだ。
途中、廊下でルチルとユークが話していた。
「やっぱり負い目かしら」
「あまり言いたくありませんが」
「この短期間にフォスと組んで」
「二人も」
「いなくなりましたから……」
視線の先には黒ゴーストと、それにヘコヘコするフォス。
ゴーストが戻るまでああいう関係に落ち着いたそうだ。
黒ゴーストが白粉をふらないのは接着した腕が馴染むように、だそうだ。
「ゴーストが 戻るまで…」
何気なく呟き、見回りに出た。
………………
(黒くても時々)
(似てるんだよな…………)
鐘の音が響いた。
「きたか」
「先に見つけたかったな」
合金が広がる。
「おい なんの真似だ」
「君が連れ去られると危ない」
「アンターク」
ピキ、と
フォスの顔がひび割れる。
「はああ!?」
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翡翠(プロフ) - おうるさん» コメントありがとうございます。更新が遅くて申し訳ないです…。励みになります。 (2019年11月19日 19時) (
レス) id: 845110876f (このIDを非表示/違反報告)
おうる(プロフ) - めっっっっちゃこの作品好きです!!!!!更新頑張ってください!!(*^^*) (2019年11月19日 18時) (レス) id: 3d90f48b0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2019年8月14日 2時
