第十七話 ページ19
開かれた扉から差す日の光が、皆の眠る寝室を明るく照らす。
あれから完全に春になり、私もコートを脱ぎ現在は涼しめのシャツを来ている。
もう頃合いだろうと、私はフォスと共にここへ来ていた。
「もう少し寝ててもいいよ」
「やっておくから」
「…助かります……」
「アンターク……」
例年通りアンタークが起こしに来たと思ったのであろう。
ルチルはアンタークの名を呼んだが、当のアンタークは＿
「アンタークは」
「月にいる」
冬前とは雰囲気が全く変わっているフォス。
私はその変化をずっと見てきたが、何も知らない者からしたら驚きが隠せないだろう。
フォスとルチルの会話を横目に起きている宝石達と少し話す。
「おはよう レッド」
「おはよう…」
「コート 暖かかったよ」
「ありがとう」
「当たり前よ」
「僕が作ったんだから！」
「うん 本当にありがとう」
冬でもそこそこ快適に過ごせたのはコートを作ってくれたレッドベリルのおかげなので、一言お礼を言っておきたかった。
そんな私の今の格好にはっとして立ち上がったレッドベリルは、寝室の隅へ行ってしまった。
「シンシャって」
「だれだっけ」
そんな声が聞こえてきた。
少しぼーっとした様子のフォスが、驚いた様子で顔を押さえた。
「…………もしかして」
「僕けっこうやばい？」
「みたいですね……」
「夏服配るよ〜」
隅に置いていたのであろう。
全員分の夏服をレッドベリルが配り始めた。
冬の間私もいたとはいえフォスも働きづめで、まして不眠症ぎみでもあった。
精神的にも相当疲れているはずだ。
フォスには休んでほしいと何度も訴えたのだが…
私が言えど
先生が言えど
フォスはそれを拒否し続けた。
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翡翠(プロフ) - おうるさん» コメントありがとうございます。更新が遅くて申し訳ないです…。励みになります。 (2019年11月19日 19時) (
レス) id: 845110876f (このIDを非表示/違反報告)
おうる(プロフ) - めっっっっちゃこの作品好きです!!!!!更新頑張ってください!!(*^^*) (2019年11月19日 18時) (レス) id: 3d90f48b0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2019年8月14日 2時
