悪知恵 ページ7
「憂太、いつの間に戻ってたのか」
部屋に戻って一休みしようとしたその時、廊下で真希さんとすれ違った。
「.....Aちゃんは?」
「空き部屋に連れてった。心配すんな、危害加えてなんかねえから」
「そんな心配してないよ」
真希さん達なら僕を信じて、Aちゃんを仲間として見てくれることくらい分かりきっていた。
そんなことを言われると逆にこっちが悲しくなる。
「で、お前の要求は通ったのか?」
「何とか通したよ。僕が監視するっていう前提で」
「術師として役に立たないようなら処分するつもりらしいけど。
Aちゃんなら強いしその心配もないでしょ」
「まあそうだな。お前と互角っぽい感じだったし」
真希さんの表情が少しいつもと違う気がする。
「.....なにか言いたいことでもあるの?」
「はぁ、こうもずっと一緒にいるとそんなことまで分かっちまうのか.....」
「じゃあ単刀直入に聞かせてもらう。
.....お前、もしAがお前に従わないって言っても普通に生かすつもりだったろ」
真希さんの一言に目を見開く。
....まさか、そんなこと言われるとは思っていなかった。
てっきりみんな、僕がAちゃんのことを自由に操れる存在だから
生かしていると勘違いしてくれてると思ってた。
「....やっぱり、ずっと一緒にいるとそんなことまで分かるようになるんだね」
「だってお前はAと似たような境遇だった。
秘匿死刑されそうになったところを五条に助けられてここに通ってんだ」
「同情もせずに有用性だけで生かすほど冷たいやつじゃねえだろ」
「....そうだよ。だって僕はちっともAちゃんを恨んでない。同情だってした」
「失いたくないとまで思った。彼女の強くて正しい思いを、無駄にしたくないと思った」
「だからこそだよ。だからこそ僕はAちゃんの生存に条件をつけた」
ますます訳が分からなそうにしている真希さんを真っ直ぐ見る。
「さっき僕が言ったこと覚えてる?Aちゃんは魅力的だってやつ」
「僕がAちゃんのことを従わせるためだけに生かしてるって勘違いしてくれたらさ、
Aちゃんは生きるために僕の言う事なんでも聞いてくれるってことだよね」
「自分が惹かれた子を生かしておける上に思い通りに出来るなんて、最高だと思わない?」
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しろりん(プロフ) - 完結おめでとうございます!憂太くんの夢主ちゃんへの過保護っぷりが…ドキドキしました…夢主ちゃん…これからは怪我に気を付けてほしいな…憂太くんとお幸せに!☺💞 (4月30日 19時) (レス) @page47 id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
cloudy1_11(プロフ) - 読んでると顔が◜𖥦◝ヌフフってなっちゃいます!(謎) (1月22日 20時) (レス) @page22 id: f03e70c477 (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - とっても良いお話ですね!夢主ちゃんが…憂太くんと関わる事で…どう変わっていくか楽しみです!☺ (12月31日 11時) (レス) @page17 id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - スター作者おめでとうございます!これからも応援し続けたいと思います。 (12月25日 7時) (レス) @page17 id: 48af94a731 (このIDを非表示/違反報告)
さとう - 初めまして、作品めちゃくちゃ面白いです!こんな私がいつのも変ですがこれからも作品作りしてくれると嬉しいです( *´꒳`* ) (12月13日 18時) (レス) @page7 id: 81b5ea6727 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碓氷エマ | 作成日時:2023年12月10日 13時