主従関係【乙骨憂太】

おしゃれ ページ22

「あ、A先輩どこ行くんですか....って、」



「え！？！？」





外に出ようと廊下を歩いていたら、

たまたますれ違った野薔薇ちゃんにものすごい勢いで近づかれる。





「先輩メイクしました！？しましたよね！？」



「めっっっちゃ可愛いー！！

やっぱ元がいいから化けると思ってたのよね〜！！先輩に合うメイク道具あげてよかったー！」





最高！可愛い！とうきうきしながら無性に褒めてくれる。



初めてのメイクで緊張してたから、そんなことを言われると普通に嬉しい。





「私おかしくないかな？」



「おかしくない！髪も可愛い....」



「よかった....！変だったらどうしようって心配で....」



「え、え、デートですか？先輩がこんなにおしゃれするなんてそれしかないでしょ」



「いや、デートとかじゃなくて....」





外で待ってる憂太を指差す。





「憂太に一緒に行きたいところがあるって誘われてるんだよね。

どこに行くかもよく分かんないけど、パーカーだからせめてそこ以外は可愛くって思って」



「2人で遊びに行くんでしょ？デートじゃん」



「私は憂太に生かしてもらってる身だし、多分そういうんじゃないっていうか....」



「はぁぁぁ、先輩ってつくづく悲観的なのね」



「A先輩と行きたいから誘ってるに決まってるでしょ？

大体乙骨先輩の態度見てると嫌ってほど分かるのよ。あれは先輩のこと道具だなんて思ってない」



「大切に思ってくれてんのよ、A先輩のこと」





そりゃあ憂太は優しく接してくれてるけど。



それは私が自由に操れる存在だからであって、大切に思ってるわけじゃないっていうか。




まあ、傍から見たら分からないよね。





「ていうか、折角なら服も可愛くしましょうよ！パーカーじゃもったいない！」



「え？でも私、これしか持ってないし....」



「大丈夫、私のを貸してあげるわ。体型もほとんど一緒だし」





ほらこっち！と野薔薇ちゃんの部屋に強制的に連れて行かれる。





「このワンピースとかどうかしら。ちょっと着てみてくださいよ」





真っ白の生地にところどころ花柄がついたワンピース。



言われるがまま、髪が崩れないようにそっと着てみる。





「....！やば、可愛すぎでしょ....」



「これで決まりね。さ、いってらっしゃーい！」



「え、ちょ、え....！？」





背中を押されて部屋から締め出される。



わ、私似合ってるかな....！？大丈夫....！？

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