元彼 ページ19
乙骨先輩は私の背中に顔を埋める。
「.......行かないで」
「Aちゃんが僕以外のやつに取られちゃう」
どうしようもなく寂しそうな声で、そうポツリと呟いた。
「そんなこと言っても.....私のことそういう目で見てる人乙骨先輩くらいですよ」
「んなわけないでしょ。世界一可愛いAちゃんがモテないわけない」
「いや実際モテてないですし.....」
「どうせ一回くらいは告白されたことあるんでしょ?」
「いやそんなこと......」
そう言おうとした途端に口が止まった。
あれ、違うな。そういえば―――
「......一回はありました」
「あるんじゃん!!」
「その話詳しく聞かせてくれないかな?」
顔は笑ってるけど全く楽しそうじゃない。
.....やばすぎる量の呪力溢れ出ちゃってますよ。
今だけは乙骨先輩に祓われた幾千もの呪霊に同情できる気がする。
「.....すごい仲のいい幼馴染がいたんです」
「男女とか関係なく仲良くしてて、幼稚園から中学校までずっと一緒で、
この2人はセットだよねって色んな人から言われてました」
「でも中3のある日、屋上に呼び出されて告白されたんです」
「.....正直、すごくショックでした。自分は男女の関係だと思ったことがなかったから」
「けど振ったら仲が壊れちゃう感じがして、
もう喋れなくなっちゃう気がして.....いいよって、そう言っちゃったんです」
「まあ、上手くいくはずも無いんですけどね。相手の求めてることと私の求めてることは違う」
「だから1週間後に振りました。
仲が壊れるのは怖かったけど、好きでもないのに付き合うのはよくないと思ったから」
「そこからは.....お互い全然喋らないまま卒業しました」
私は元の関係に戻りたかった。
何も考えずに一緒に居られる、あの関係に。
でも振ったくせにそんなの言う筋合いなんてないから。
相手が元の関係に戻りたいと思ってくれない以上は、そんなの望んじゃいけない。
「.....僕以外に彼氏いたなんて聞いてないよ」
「やっぱり行かないで。そいつに取られるかも」
さらに強くぎゅっと抱きしめてきた先輩の手をゆっくり振りほどいた。
「ごめん、なさい」
「一目でいいから、喋れなくてもいいから、この機会に会ってみたい」
「私は先輩だけのものですから。それに、多分あっちももう私のこと好きなんかじゃないですよ」
「.....ね?」
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ナミ(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉 私も,この作品が好きなので続編希望です。でも,新作も見てみたいです!これからもがんばってください! (6月12日 17時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず七味(プロフ) - 完結おめでとうございます🙋読んでて最高でした!新作みてみたい気もしますが、続編希望です!!これからも素敵な作品をお恵みください(?) (6月12日 15時) (レス) @page47 id: 472c7aa5ca (このIDを非表示/違反報告)
レイあむ(プロフ) - 完結おめでとうございます!陰ながらいつも応援して良かったです(`;ω;´)新作みたいですなあ、体に起きおつけて! (6月12日 9時) (レス) @page47 id: 8d20a79d2b (このIDを非表示/違反報告)
らな - 完結おめでとうございます!!もうめちゃんこ面白かったです😭😭本当にありがとうございました!!!私は新作を見ていたい気もします…!これからも応援してます!! (6月12日 7時) (レス) @page47 id: e0fbbf9247 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!面白くて、それでいて胸キュンで...本当に良い作品でした!私的には新しく乙骨先輩のを書くのもありよりのありですね(((( (6月12日 6時) (レス) @page47 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:碓氷エマ | 作成日時:2023年2月19日 13時