ドS彼氏な激重先輩【乙骨憂太】

助け ページ14

「お前.....さっきから携帯鳴りまくってるけどでなくていいのか？」



「大丈夫だよ。見なくても誰からどんな内容が送られてきてるのか、粗方予想がつくから」





ブー、ブー、と鳴り続ける携帯の通知音。



その音はAちゃんの焦りを具現化しているようで、聞いていると妙ににやつく。




果たしていつごろ異変に気づいたんだろう。



飲んですぐ？それとも時間が経って効果が出始めた頃？




.....今どんな顔して授業受けてるんだろ。





「はぁ......A関連ってことは察したわ」



「憂太今回は何したんだ？」



「すじこ......？」





何かを察して関わらないようにする真希さん。



Aちゃん関連だと気づき興味を示すパンダ君。



1人だけ何も理解できなくて困る狗巻君。




いつの間にか3人の視線が僕に集まっていることに気づいた。





「うーん、」



「何が起きたのかは、もうじき分かるんじゃないかな」





その瞬間、ガラッと大きな音を立てて教室のドアが空いた。





「.....ほらね」





なんとか壁に手をついて立っているAちゃん。



髪はいつもより乱れていて、今にも倒れてしまいそうなほどに息が荒い。




その姿はいつもに増して色っぽくて、それでいて艶やかで。



僕の心臓がドクッと波打つ感覚がした。





「あ、の......」



「体調、悪いので.......医務室、連れて行ってください。乙骨せんぱい」



「そのためにわざわざ僕の教室に来たの？

伏黒君にでも連れて行ってもらえば良かったんじゃない？」





僕のその言葉を聞いて睨むAちゃん。



.....やっぱり可愛い。僕に翻弄されてるところが、一番。





「せんぱい、じゃなきゃ......だめなんです」



「そっか。僕じゃなきゃだめか」





先生、そういうことなので医務室行ってきますね。とだけ言葉を残して席を立った。



もう腰が抜けて座り込みそうになっていたAちゃんを抱き上げる。




.....体、思ってた以上に熱いな。





「先輩の馬鹿......っ、善意かと思って飲んだのに.....」



「ごめんごめん。今度ちゃんとしたの作ってあげるから」



「.....作らなくていいです。どうせまた薬盛るくせに.......」



「あ、バレた？」





ゆっくりと医務室のドアを開けると、いつもいるはずの家入さんの姿がなかった。



『ただいま不在。緊急の場合はこちらまで』と置き手紙が置いてある。





「運がいいね。Aちゃん」

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