閉じ込めちゃいたい【乙骨憂太】

デート ページ17

「Aちゃん。今日はお出かけしよっか」



「......え？」





朝起きると、制服ではなく私服を着て出かける準備をしている乙骨くんと目が合った。



衝撃の一言に思わず固まる。





「どこ行きたい？遊園地でも水族館でもレストランでも.....Aちゃんの好きなとこでいいよ」



「ま、待って。状況があまり理解できてないっていうか.....」



「.....いいの？私が外に出ても」





これまで頑として外に出してくれなかったのに。



私の目線とか興味が他のものにいってほしくないって言って、

高専のみんなに会うことも部屋から出ることも許されてなかったのに。




どういうこと、なんだろう。





「うん、いいよ。今日は特別ってことで」



「......その代わり、Aちゃんが他の人と関わろうとしたらすぐ帰るけどね」





今日が特別だからにしても、これは甘すぎる。



乙骨くんは本来こういう人じゃない。



私が他の人を少しでも視界に入れるだけで嫌な気分になる、はずだから。




......もしかしたら、気にかけてくれているのだろうか。



昨日から私の様子が明らかにおかしいから。



気分転換でもさせてあげようと、思ってくれてるのだろうか。





「お買い、物.......」



「......え？」



「乙骨くんと一緒に、お買い物に行きたい.....」





ずっと前から乙骨くんのことが好きで。



ずっと前から乙骨くんと付き合ったら何したいか考えてた。




こんなことになっちゃったから、もうしたいことも叶えられない.....けど。



今日一日だけ、普通の恋人みたいにデートできるっていうならお買い物がしたい。



乙骨くんと付き合ったらしたいことNO.1がこれだったから。



.....これだけは、叶えておきたいんだ。





「お買い物.....か。いい案だね」



「じゃあ早速行こっか、Aちゃん」

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