閉じ込めちゃいたい【乙骨憂太】

嘘 ページ6

.....失踪？



乙骨くん、一体何言って......





『もう呪術師でいるのが辛いんだって。

Aちゃんは優しい子だから、呪霊を祓うことに対して思うところがあったんじゃないかな』



『.....それ聞いたら、僕も止められなかった。

せめて行き先だけでも、って思ったけど、それも教えてくれなかった』



『Aちゃんはもう、ここには戻ってこないよ』





待って。やめて、乙骨くん。



そんな信憑性の高い嘘を真希達に吐かないで。




.......違う、違うんだよみんな。



私はここにいるんだよ。



失踪してなんかない。呪術から逃げようとなんてしてない。




ただ、歪んだ愛に縛られて動けないだけなんだ。





『Aが、失踪.......』



『......マジか』



『こんぶ.......』



『でも、まあ』



『Aが決めたことなら、俺達が否定する権利はねえな』



『くっそ、一言くらい言えよ馬鹿.....』



『どこにいるかは分かんねえけど.....また会えたらいいな』





「待ってみんな、私はここに―――！」





電話の切れた音が鳴り響く。





「嘘、でしょ.......」





乙骨くん、分かってたんだ。



私が真希達に淡い期待を抱くことくらい。




だからわざわざ電話を繋いで、私に現実を見させた。



そう簡単に逃げることなんて出来ないよ、と。




ここに来てようやく焦燥感が私を襲う。




さっきまでは心の奥底で、すぐ逃げられるに違いないって思ってた。




......でも、これはかなりヤバい。





「帰ってくる前に、なんとかしなきゃ」





乙骨くんがこの部屋にいる間は100％逃げられない。



つまり、乙骨くんがいない今がチャンス。




大声を出しても駄目。真希達に気づいてもらうのも不可能。




あ、そうだ。私のスマホがある。



どうにかして高専の誰かに......





「.......まあ、出来るわけないよね」





いつの間にか、私のスマホから連絡出来る系のアプリがすべて消されていた。



アプリをインストールしようにも、

どうやら乙骨くんのスマホの管理下に置かれていて入れられない。





「本当にどうしたらいいの......」

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