episode.1 ページ1
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____これは思ったよりまずいことになった。
けたたましいサイレンが城内で響く中、一人の少女が風を切る速さで城壁を走り抜けていく。一見冷静な様にも見て取れるが、彼女の心中は酷い焦燥感に駆られていた。
しかし「こんな状況」が初めてという訳でも無い。
だからこそ焦燥感に駆られてはいるものの、次に何をすべきか冷静に考える余裕はある。悪く言えば「こんな状況」を経験しすぎている故に、失敗経験だけは誰にも引けを取らない程豊富ということだが。
___それにしても、だ。
「...流石に潜入して数分でバレるなんてなぁ」
溜息混じりの言葉が口からこぼれた。
特別珍しくもない短い金髪に、気怠げな緑青色の瞳。身長は女性の平均よりかは少し高いが、特筆するほどでもなく何処にでも居そうな凡庸な見た目だ。
が、全く特徴が無いという表現は正しく無い。
世間一般で言う女性らしさとは遥かにかけ離れて研ぎ澄まされた肉体と、何よりも特徴的な黒いマントが少女を異端知らしめているのだから。
「さてと」
後ろを振り返れば全身を覆う金属板で構成された鎧を身に、剣と盾を手にした兵士達が血眼で追って来ている。その重量感のある見た目から、まず追っては来れないだろうと鷹を括っていたのだが追う速さはほぼ互角ときた。
流石、かの軍事国家「我々国」。おかげでこうして番狂わせな「こんな状況」を作られている訳だ。
「とにかく何とかして撒かないと」
ベルトに備え付けたポシェットから発煙手榴弾をいくつか取り出して、慣れた手付きでピンを外しレバーを解除してから足元に投げ捨てていく。
発煙手榴弾が点火するのは4ないし5秒後。
その一瞬の間に懐から取り出したワイヤーガンを塔の屋根に撃ち、勢いをつけて地面を強く蹴り体を前へと弾き出す。数秒後その背後ではたちまち煙が広がっていた。
___全てが洗練されている。
咄嗟の冷静な判断力。
鍛え抜かれた肉体ともに全て。
だけども、どれも不思議なことじゃない。
当然と言われれば当然だ。
何故ならその少女は名も無きただの、
アサシンだからだ
chapter.1
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haiiro(プロフ) - さん» 勿体ないくらいのコメントありがとうございます！今後も地道な更新ですが、よろしくお願い致します。 (2021年7月5日 23時) (
レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
haiiro(プロフ) - きのこさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます。楽しんでもらえて何よりです…！ (2021年7月5日 23時) (レス) id: 5cfb19773b (このIDを非表示/違反報告)
- 誤字失礼しました、更新いつまでも待ってます！ですm(_ _;)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
- すごい！こんな神作品見たことないです…更新いつまでも待ってるんです、無理はしないでください！初コメ失礼しましたm(_ _)m (2021年7月5日 16時) (レス) id: 6216055e94 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - ストーリーがめちゃくちゃ面白くて引き込まれました…！神作品を作っていただきありがとうございます！！ (2021年6月27日 20時) (レス) id: 40eb1cfd02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：haiiro | 作成日時：2021年1月23日 20時
