いろんなお話 with JUMP

産女の幽霊　２ ページ25

※CPはなくなってしまいました。 ごめんなさい。

Noside
昔々、ある山奥に『慧』という木こりが住んでいました。

慧は木を１本切り落とすまでに何日もかかってしまうほど力がありませんでした。

慧「今日も切り落とせなかったな…」

そんなことをいいながら暗闇に染まった山の坂を下っていると、目の前に妊婦が歩いてきました。

とても苦しそうです。

慧「大丈夫ですか？」

知「はい…」

慧「こんな遅い時間ですよ？ どこに向かっているのですか？」

知「今日のうちに坂の先の峠を越えて、隣町に行かなければならないのです…」

慧「女性が夜の山を歩いて、しかも今から峠を越えることなど… 危険です。

　 なので今日は私の家に泊まっていてください。」

親切心が働き、この言葉を言ったはずでした。

しかしこの女性は他人の親切を怖いと思ってしまい、申し出を断って先へと行ってしまいました。

〜そんな出来事から半年後〜
慧は変わらず日が暮れるまで木を切ろうとしていました。

慧「あぁ… なんで俺は切れないんだ… 木こりなのに…

　 でももう暗い。 さすがに夜は危険だから家に戻ろう。」

山道を帰っているときでした。

知「伊野尾さん、伊野尾慧さん。 私のことは覚えていてくれているでしょうか…？」

慧「…申し訳ありません、どなたでしょうか…？」

知「半年前、あなたの目の前にいた女です。 妊婦でした。

　 覚えてなくてあたりまえですね。 夜道を通っただけなので。」

慧「そうなんですか。 …ではなぜ今、私の目の前に？」

知「…この子を抱いてほしいのです。」

この子というのはこの女が産んだ子供でした。

知「それと今の私について報告しにきました。」

慧「報告ですか？」

知「はい。

　 あなたに会った後、私は死にました。 足を滑らせてしまって、深い谷に落ちてしまい…

　 あの時あなたは『危ないから家に泊まっていきなさい。』そう言ってくれました。

　 あなたの親切心を疑ってしまったお詫びにこの力を授けます。」

そう言って女はすっと消えてしまいました。

不思議なことに抱いていた赤ん坊がどんどん重くなっていきました。

慧はその重みに必死に耐えました。

耐えているうちに夜は明けていました。 しかもよく見ると今まで抱いていたのは石だったのです

産女の幽霊　２→←みにくい？アヒルの子　２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す