空色と笑顔と.2 ページ9
とりあえず声をかけるだけ、と言い聞かせながら勇気を振り絞って声をかけた。
『あ、あの』
「なんやねん。まだなんか用か」
『出来ればすぐに目を通して持ってきて欲しいと言われましたので。目を通して頂けると』
「お前がおる所で見て情報漏れたらどうすんねん」
『わ、私は見ません!!コネシマ、様が仰るなら目瞑るでも後ろ向くでも何でもします!!』
「……ほぉん?」
何故かニヤニヤと薄く笑みを浮かべるシッマは目を細めて私を見る。
えっなになになんなの。
先程まで不機嫌な顔をしていたのに打って変わって今はものすごい笑顔だ。
といっても怪しい、何かしら悪い事を思いついた、といったような笑顔だが。
「……さっき俺の事なんて呼んだ?」
『へ?コネシマ、様……?』
煙を吐き出しながら問いかけるシッマ。
もしかして様付けの件……?
一応言っておくがさん付けで呼ぼうとはした。けれど元々賛成ではなかった人にさん付けもどうなのだろうか、と思い様付けの方で呼んだのだ。
さん付けで呼ばれるの嫌そうだったのにそれとこれとはまた別なのだろうか。
「俺もあの条件は不服やけどな、総統命令やったしもう終わった事やからええねん。そんでお前は今俺の事を前の呼称である様付けで呼んだ。つまり?」
『……命令を聞く必要がある、と?』
「せや」
未だにニヤニヤと笑う彼。
それ故に予想がつきやすい。大方この城から出ていけ、だとか殺すフリして反乱分子となれ、みたいな事を言うのだろう。
私が一般人になりたいと思っている事は分かっているだろうしきっとそんな願いなはずだ。
覚悟を決めてシッマの次の言葉を待つ。
「……付き合えや」
『え?』
「煙草、付き合えや」
『……へ?』
「何回も言わせんな。煙草付き合え、言うとんねん」
『あ、いえ。聞き取れなかったという訳ではなくてですね』
「なんやねん。じゃあ選べや。決定権はお前にあんのやろ」
正直驚いた。
その程度の事?と。
煙草自体は吸っていたことがある。お付き合い程度だけれど。
今でもお酒を飲んだり周りが吸っていれば吸う事はあった。
だから煙草を吸うこと自体は構わない、だけれど―
「はよせぇ。俺は気長くないねん。どっちや」
『……お付き合いします』
そう答えるとシッマは少し面食らった様な顔をしつつも煙草をこちらに差し出した。
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.*桜餅*.@柿の種軍団_副団長(プロフ) - 凄く面白くて、最初から一気に読んでしまいました!私も作者やってますが、こんなに素敵な作品作れません…!体調に気を付けて更新頑張って下さいね!応援してます! (2021年1月10日 22時) (レス) id: 61b4604950 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 低評価荒らしでしょうか…?反抗するためといってはなんですが、星10を押させて頂きました、これからも応援してます!頑張ってください! (2020年12月15日 23時) (レス) id: e30e1010c9 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - 続編おめでとうございます!!とても読みやすくて好きです!更新頑張ってください!応援してます! (2020年12月14日 1時) (レス) id: dc1a08746a (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅ィ(プロフ) - 続編おめでとうございます!!これからも楽しく読ませて頂きます!( ̄^ ̄)ゞ (2020年12月6日 15時) (レス) id: a969f38b6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:螢 | 作成日時:2020年12月5日 20時