�� ページ30
・
今日はラストの日だった。
誰もが悲しみに満ちてお別れを告げる日。
そんな日だっていうのにAは来てくれなかった。
きっとの彼女のことだから、泣きながらお別れを言えない自分が嫌いだから来ないんだろう、なんて容易に思いついた。
だからと言って俺たちはそんなので食い下がりたくなかった。
俺たちを救ってくれた彼女とお別れをできないなんて、そんなの許せなかった。
「…何でAは来ないんだろう。」
そうやって素直に言うなかむに驚きながらも、同じ気持ちであることに間違いはなかった。
昔は自分の気持ちをひた隠しにしていたなかむが自分の気持ちをはっきり言ったことがどうしようもなくうれしくて、返事なんてできなかった。
どんなに、どんなに待ったって彼女の来る気配はなかった。
「ねぇ、じゅんと雨に相談しない？」
そうやって言いだしたぶるーくはもう居ても立っても居られないという風に焦った顔をしていた。
『…うん。そうしよ。』
…だけど、俺たちがどんなに呼んでも2人は出てくることはなかった。
もう、刻々と終わりの時間は近づいてきていた。
来ないだろう。
みんながあきらめ始めたころ、いきなりAが現れた。
「…あ…みんな…」
そうやって言うAの顔には罪悪感や後悔がにじみ出ていた。
「ねえ、何で来なかったの？…なんで？」
泣きながらすがるようにして、なかむがそうやって言った。
なかむの一言がきっかけでみんな、Aに近づいていき言いたい放題言い出した。
だけど、そうやって悪態つくみんなの顔は笑顔で心底嬉しそうに泣いていた。
少しの時間そうやってしていると、みんな泣きつかれてAと笑いあいながら話し始めていた。
「もー、今日はさすがに来てくれないと困る〜」
起こっているのか面白がっているのかわからないぶるーくが言った。
「…だって、みんなに会ったら悲しくて泣いちゃうよ。」
そうやって言うAの言葉にはきっといろんな思いが込められているのだろう。
『ね、最後にみんなで約束しよう。』
みんな驚いていたけど真剣な顔で聞いてくれた。
『俺たちはみんな恵まれていなかったけど、ここにみんなであえてわかったことがたくさんあった。
だから、無理だと思ったらみんな全力で逃げて。
あともう１つ、大きくなったらみんなでまた会おう。
いつだってかまわないけど、絶対に。』
そうやって言ったとたんに時間が切れたように俺はこの場から消えていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 110人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鬼婆 - 金平糖さん» そうなんですか！WWすごい偶然ですね！ (2023年4月1日 8時) (
レス) id: 7a95b3124a (このIDを非表示/違反報告)
金平糖(プロフ) - 初コメ失礼します！リアルのクラスでケンタッキーてあだ名で名前健太って人居るの奇跡(？) (2023年3月22日 18時) (レス) @page16 id: 4fd3a933d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鬼婆 | 作成日時：2023年2月9日 17時
