story58. ページ10
「きゃあっ!!?」
「カムイ様…!!姉さっ…どうして!お願いですっやめてください!」
「もう遅いの…。ここまで来てしまった以上、あなた方には死んでいただきます。…でも」
私は荒れ狂う吹雪の中、一人ずっとこちらを見つめているフェリシアに視線を定める。
「フェリシア。あなただけは助けてあげる。あなたは氷の部族の者…殺す必要はないわ」
フェリシアを殺すという宣告は、もちろん部族の皆にとっては辛いこと。
今仕えている私という部族長の、妹である彼女を
仲間だった子を、殺すだなんて心優しい部族の皆ができるはずがない。
ここで、戦意を失ってはいけない。
だから…
「…いいえ」
「…フェリシア」
「私はそちら側にはつきません!私はカムイ様と共に参ります!あの手紙にも書いたはずです…私も、私なりの正義を貫くんです!!」
決して揺るがない瞳で、フェリシアは訴えた。
「例え、姉さんに今ここで殺されようとも、部族のみんなに殺されようとも構いません!!」
「………そう」
私はゆっくりと瞳を閉じて、あの時を思い出す。
迫られた選択。
断った私の前にあったのは絶望だった。
父さんを見せしめのように殺されて。
部族のみんなを人質に取られて。
…それでも、あの時この子のように断っていれば。
カムイ様を頼っていれば、こうならなかったの?
「私も…あなたのように言えればよかったのに」
「え?」
私はあなたが羨ましいわ、フェリシア。
私ももっと真っ直ぐに立ち向かう勇気が欲しかった
けれど、もう戻れない。
部族のみんなを選んだ私は、そちらにはつかない。
カムイ様を殺す…これは私が決めたことだから。
「…くっ…!フローラさん…。私は、信じてます…あなたを、信じてますから…!!」
マントとジョーカーに守られながら、カムイ様がフェリシアと同じように叫ぶ。
守られているだけのこの人に…私にかぶさるいくつもの鎖を解けるとでもいうのか。
「…都合の良い言葉ですね。…さぁ、かかって来てくださいカムイ様」
「…っ」
「フェリシア。私…あの家で待っているから」
「!ま、待ってください姉さんっ…!!」
最後に一際大きな吹雪を吹かせ、配置に着く。
私は拠点の前へ。
殺傷能力の高い銀の暗器を腰元からすり抜いた。
あといくつか体に仕込ませてある。
「…いままでありがとう…」
誰にも聞こえないように呟く。
部族のみんなのためにも、私はやらなければ。
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すぃふる(プロフ) - のり☆もちさん» ありがとうございます!というか私シリアスしか書けないやっぱ… (2017年1月4日 1時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
のり☆もち(プロフ) - すぃふるさん» ほんと切ない。けどシリアス大好物の私にとってはめちゃめちゃ美味しい展開ですw 更新頑張って下さい! (2017年1月3日 23時) (レス) id: 53609598f6 (このIDを非表示/違反報告)
すぃふる(プロフ) - のり☆もちさん» 私も幸せにしてあげたい…。だけど今の売りは「切ない」なんだ。我慢してね〜フローラ?「…凍てつきなさい、作者!」 (2017年1月3日 23時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
のり☆もち(プロフ) - すぃふるさん» 切ない…ジョフロ…切ない…流石です、ただただ切ない…。 (2017年1月3日 22時) (レス) id: 53609598f6 (このIDを非表示/違反報告)
すぃふる(プロフ) - あっぷるぱい猫系女子さん» ほんとやっとですよー。さて、フローラはこの後悔をどうするのでしょうか? (2017年1月3日 21時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年11月22日 15時