story56. ページ8
淡い光が消えて、その場にジョーカーが降り立つ。
しかし、肝心のリリスの姿がなかった。
「…?リリスは?」
「姉さん?ほら、いるじゃないですかそこに」
まさか彼女は幽霊でも見えているのだろうか。
同じ双子なのにこんなことが…?
私は思い切り頰をつねってみた。
「…ね、姉さんっ?」
目を瞬かせ、擦ってみて、もう一度頰をつねる。
それでもリリスは見えない。
…ジョーカーが、何をしているんだお前は。
と言わんばかりの形相で見てきたので、我に返って顔に熱が上った。
「…あっ…。フェリシアさん、また説明が足りていないんですよ」
「あ、そうでした。私も間違えちゃったんですから、姉さんにもわかる訳ないですよね」
フェリシアの物言いに少し引っかかるものを覚えたが、大人しく待つ。
カムイ様がジョーカに近づいて、その肩に触れた。
…のではなくその上に乗っていた動物を手に抱いた
ジョーカーが帰ってきた時からその肩に乗っていたその小さな動物。
見たことのない不思議な形です不審に思ってはいたが、それほど気にとめなかった。
「リリスさんです」
「……?」
「リリスさんですっ」
「その…獣が?」
「獣だなんてひどい〜」
リリスと呼ばれた獣は、丸い水晶玉に乗るようにしていて、そのまま飛んできた。
「きゃっ…!?」
何かをされるのではないか。という防衛本能から、私は手を前に出して体を守る。
≪フローラさん…大丈夫です。攻撃なんてしません≫
「その声は…リリス?」
≪はい。訳があってこのような姿になったのですが、私は確かにあのリリスです≫
頭に直接響くような声。
それが目の前のこの子から発せられているらしい。
…本当に、これがリリスなのか。
「ほら、可愛くなってるでしょう?」
その時、私は可愛いという本当の意味を理解する
その瞬間、体に重く何かがのしかかったような感覚がした。
驚いた反動のようなものか。
「……とにかく無事でよかったわ。リリス」
≪フローラさんこそ。また会えて良かったです≫
リリスは、微笑んでいるのだろうか。瞳を光らせてこちらを見ている。
「な、なんだか寒くなってきましたね…」
ふいにカムイ様がそう呟いた。
確かに、もうここは部族の領域。
あたりにはまだ弱いながらも吹雪が吹き荒れている
服にまとわりつく雪に、カムイ様は驚かれていた
もうすぐ…帰ることができる。
本当の意味で…氷の大地へ。
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すぃふる(プロフ) - のり☆もちさん» ありがとうございます!というか私シリアスしか書けないやっぱ… (2017年1月4日 1時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
のり☆もち(プロフ) - すぃふるさん» ほんと切ない。けどシリアス大好物の私にとってはめちゃめちゃ美味しい展開ですw 更新頑張って下さい! (2017年1月3日 23時) (レス) id: 53609598f6 (このIDを非表示/違反報告)
すぃふる(プロフ) - のり☆もちさん» 私も幸せにしてあげたい…。だけど今の売りは「切ない」なんだ。我慢してね〜フローラ?「…凍てつきなさい、作者!」 (2017年1月3日 23時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
のり☆もち(プロフ) - すぃふるさん» 切ない…ジョフロ…切ない…流石です、ただただ切ない…。 (2017年1月3日 22時) (レス) id: 53609598f6 (このIDを非表示/違反報告)
すぃふる(プロフ) - あっぷるぱい猫系女子さん» ほんとやっとですよー。さて、フローラはこの後悔をどうするのでしょうか? (2017年1月3日 21時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年11月22日 15時