孤独の氷刃２

story53. ページ5

『フローラさんとフェリシアさんって、本当に双子なのかしらね』

『二人ともよく顔が似てるじゃない』

『顔の話じゃなくて…ほら、性格とかそういうところの話よ』

『あぁ…確かに』


昼の休憩時間、偶然彼女たちの話を聞いた。


『フローラさんは、しっかり者のお姉さんって感じがするじゃない？』

『そりゃ姉だもの。対してフェリシアさんはドジが多かったりするわよね…』

『でもなにか近寄りやすいような…わかる？』

『う〜ん…なんとなくかしら』


フェリシアは今、どこにいるのだろう。

もしこれを聞いていたらどう思うか。


『柔らかい雰囲気があるわよね。フローラさんはこう…堅いっていうの？しっかり者だけれど』

『孤高って感じがするわ』


孤高。その言葉は案外図星かもしれない。

フェリシアに追い抜かれたあの日から、あの子と自分を見比べながら生きてきた。

あの子がドジな分…私はしっかりとして、良い意味での差別を作ろうとしていた。


『フェリシアさんの方がお姉さんに向いてるかも』


…え？


『何言ってるの？フローラさんが姉なのが普通よ』

『でもね………』


その後も彼女たちの話は進んでいたが、私の頭はもうそれどころではなかった。

フェリシアが姉にふさわしい？

…ふざけたことを。


あの子に奪われた魔導の才、それ以上に武の才。

それから優しく柔らかい雰囲気。


それらを上回れるように、どれだけ私が苦しんできたと思っているのか。

最後の「姉」という砦をどんな思いで…。


私はどうして…いつも、いつも…。


ーーー


「…う…ここは…」


視界に彩りが戻る。

見つめていた先にマクベスや、カムイ様たちも誰一人としていない。


「…フローラさんっ！！」

「えっ…あ、カムイ様」

「よかった…目を覚まされたんですね」

「…！マクベスはどこに？」

「大丈夫です。勝てました。幻影でしたが…仕方ありません」

「…そうでしたか」


マクベスはうまく逃げたらしい。

カムイ様に続いて、続々と白夜の兵が戻ってくる。


「…姉様！！兄様が…タクミ兄様が危険です！！」

「！？…どうしました、サクラさん！」


突如響いた王女の声。

カムイ様はそちらに向かったので、私もついて行く


「熱が上がっています…このままでは…」


特殊な風土病…この病気は死に近づくにつれて熱が上がるはずだ。

…もう限界を超えそうな症状。


「カムイ様、急ぎ薬剤をとって参ります」


ここは、助けるのが最優先だ。

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