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story83. ページ36

「違う…そんなわけ……。嘘よ…違う!…違う!!」

「きゃあっ!!フローラっ…どうしたの!?」

「何をしているの!やめなさい!」


心が暴れ出して、それに呼応するかのように吹雪がうごめきだす。

どう制御するかも思い出せないまま、私は自らの見た映像にひたすら問うた。


本当に…これは真実なのか。


もしそうだとしたら…私はとても馬鹿なことをしてしまったのだ。

二度と取り返しのつかないことを。

どれだけ悔いても悔やみきれないことを。


「どうしてっ…!!」


どうして伝えてくれなかったの。

なぜあんなに辛い顔をしていたのに…。

私は信じてしまったじゃない。

本当に…私なんて興味がないんだって。

だから私は…あなたに刃を向けたのに。

なのに…なのに…。


『…フローラさんのこと、好きでしょう?』


彼は頰を赤くしていた。頷いた。

その顔を、私はもう見ることができない。

声を、聞くこともできない。


…全て、私が…。


「…うぅ…あああ…!!」

「フローラっ!!」


後悔するのはやはり、全てが終わったあとなのだ。

たとえ気づいても、戻せない罪の重さを味あわせるかのように。


意識が遠のいてゆく…

少し壊れた壁から光が差し込んでいる。

そのせいなのか、目の前が真っ白になっていった。


ーーー


「雨も降っている、今夜はここで過ごすとしよう」

「汚いけど…何もないよりマシだね」

「まだベットに戻れないのー!?」

「こらこら、我慢なさい」


無事に王子たちは戻り、その場を制圧した、

一度体制を立て直し、ガロン王を連れてゆくため、暗夜王城へ戻ろうとしている。


「フローラ。寝よう?」

「はい…」


エリーゼ様たちは、あのことに深く関わらないでいてくれた。

涙の跡を、拭ってくださった。

お礼もまともに言えないまま、私は今こうして無限渓谷の砦にいる。


「…おやすみ、フローラ」

「はい…」


壁にもたれかかるようにして、瞼を閉じる。

しばらくして、周りから多くの寝息が聞こえてくる

…皆、長い戦いに疲れてしまったのだろう。


私は、眠ることができなかった。

目を閉じると彼らの顔が浮かんできて…。


一度頭を冷やそう。明日はまた行軍だ。



幸い雨は止んでいる。

いつもより少し湿った風が吹く中、私は吸い込まれるような黒い谷底を見つめた。

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すぃふる(プロフ) - のり☆もちさん» ありがとうございます!というか私シリアスしか書けないやっぱ… (2017年1月4日 1時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
のり☆もち(プロフ) - すぃふるさん» ほんと切ない。けどシリアス大好物の私にとってはめちゃめちゃ美味しい展開ですw 更新頑張って下さい! (2017年1月3日 23時) (レス) id: 53609598f6 (このIDを非表示/違反報告)
すぃふる(プロフ) - のり☆もちさん» 私も幸せにしてあげたい…。だけど今の売りは「切ない」なんだ。我慢してね〜フローラ?「…凍てつきなさい、作者!」 (2017年1月3日 23時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
のり☆もち(プロフ) - すぃふるさん» 切ない…ジョフロ…切ない…流石です、ただただ切ない…。 (2017年1月3日 22時) (レス) id: 53609598f6 (このIDを非表示/違反報告)
すぃふる(プロフ) - あっぷるぱい猫系女子さん» ほんとやっとですよー。さて、フローラはこの後悔をどうするのでしょうか? (2017年1月3日 21時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年11月22日 15時

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