孤独の氷刃２

story77. ページ30

王族同士が睨み合い…カミラ様を最初としてそれぞれが戦闘体制に入ってゆく。


私とエリーゼ様の相手はもちろん…カムイ様。

そしてそれに付くフェリシア。

…姉妹対決というわけだ。


「せやあっ！」


カムイ様が傷のついた足を庇って竜化し、飛びかかってくる。

それを寸前でかわして、また足に刃を当てた。


「…くっ！」


竜の鱗に阻まれてしまった。

そのままエリーゼ様に刃を向けるカムイ様を、なんとか突き飛ばして離れさせる。

そこへエリーゼ様はファイアを叩き込んだ。


「させません…！」


そして…フェリシアが魔導を阻む。

ひたすら繰り返されるそれを崩さねば身がもたない


「…凍てつきなさい！！」


夜の空に渦巻く冷気を素早く集め、氷を産む。

カムイ様がそれを砕くことで視界を遮る。


氷に慣れているフェリシアには、足元に氷を張り滑るように仕向けた。

ドジな彼女はいとも簡単に転んだ。


「ミョルニルっ！！」


そこへあの無数の雷を撃ち込むエリーゼ様。

繰り出された無慈悲な雷たちは、フェリシアを次々に貫いていく。

いくら回避術を持つとはいえ当たれば意味がない。

土煙が去ればそこにはもう…虫の息の妹がいた。


「フェリシアさん！！！くっ…すぐに私がっ！」

「…甘いっ！」


素早くカムイ様の後ろに回り込み、暗器を背に突き立てる。

吹き出した赤が私の頰を染め、避けた瞬間…エリーゼ様の龍の呪がカムイ様に直撃した。


「うぐっ…あ！！……」


大きな金属音を立てて、カムイ様が倒れる。


「フローラっ…はぁ…息は…！？」

「……ありません。討ちました…！」


「っ！？カムイ姉様！！！」


喜びの声をあげる暇もなく、駆け寄ってきたサクラ王女が弓を構えた。


「よくも姉様をっ…！！」

「…！」


素早く放たれた矢。エリーゼ様を庇って私は右腕にそれを受けた。

…鈍い痛みが走る。


「きゃあっ！？」


しかしその王女の体を地から生えた植物が拘束し…その脇腹を、黒い閃光が貫く。

ブリュンヒルデとジークフリート。

暗夜の誇る神器の力だ。


「…ね…さまぁ…」


サクラ王女も同じようにして倒れ、やっと一息をつくことができた。


「…ふぅ…後はヒノカ王女とアクア王女だけで…」

「…危ないぞ！フローラ！」

「…！？」


顔の真横に飛んできた暗器を弾いた。

マークス様の声がなければ即死だったろう。

暗器が飛んできた先には、同じように血に濡れたあの人が立っている。

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