孤独の氷刃２

story72. ページ25

カムイside


「…カムイ様〜。お怪我の方は大丈夫ですか？」

「フェリシアさん。…はい、平気ですよ」


星界にある桃の木。

もたれかかるようにして休息を取っていると、近くにいたフェリシアさんが話しかけてきた。

彼女も、先の戦いでよく活躍してくれた。


「レオンさんが選んだ戦場…あそこは地獄でした」


光のない闇の森。ただ一つ照らすのは人魂。

あちこちに沼が溢れかえり、落ちた者の体力を奪ってゆく。

私や、ジョーカーさん、フェリシアさんは無事だった…暗夜の者は平気らしい。

だからこそ、再確認されたのだ。


…私は、暗夜の者なんだと。


「リョウマ様やタクミ様…大丈夫でしょうか」

「……」


戦の途中、白夜から暗夜の大軍に攻め込まれているとの伝令を受けた。

しかし、こちらも戦闘中。どうすればいいか迷っていた私に二人は強い瞳で答えた。


任せろ。とその瞳が言っていた。


あの戦場に残ったのは、リョウマ兄さんとタクミさん。そしてその臣下の軍。


「暗夜王族は強いです。安心はできませんよね…」

「はい。よく…わかっています。二人の実力は」


だってあの城塞で何度も見せてもらったから。

実力の差を叩きつけられてきたから。


「…でも、白夜だって負けません」


私は背伸びをして立ち上がり、隣を振り返る。


「私は…彼らを信じます！」

「カムイ様…」

「それでこそカムイね」


真後ろから声が聞こえた。透き通るような声。


「アクアさん！」

「もう迷いはないのね？」

「はい。もう大丈夫です」

「そう…よかったわ」


アクアさんが少しだけ微笑んで、私のそばに来た。


「…もうすぐ、進軍を開始するつもりです」

「そうね、それがいいわ。向かうのは…あのテンジン砦よ」

「わかりました。行きましょう」


その後、言った通りに兵を再度集め、リリスさんに星界の門を開いてもらった。

元の場所に戻ると、少しだけ雲が動いたような様子が見て取れる。

…あまり時間は経っていないようだ。


「進軍を開始します！」


私の声に、白夜の皆さんも大声で答えた。





…たどり着いた、白夜の前線基地。

以前もここで戦闘したことを思い出す。


「さぁ…はやく中へ…」

「そうはいかないわ、カムイ」


疑問の声を上げる暇もなく、死角から魔導の攻撃が降りかかる。


「まさか…...カミラ姉さん...！」


…姉さんだけでない。

エリーゼさん、フローラさんまで。


白を覆い尽くすような大軍が、待ち構えていた。

story73.→←story71.

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す