孤独の氷刃２

story71. ページ24

手紙を受け取ったカミラ様が、辛そうな…しかしどこか嬉しそうな顔をした。


「…テンジン砦に戻るわよ、二人とも」

「え？どうして？」

「何かあったのですか？」


カミラ様は私とエリーゼ様に、手紙を見せた。

そこにはレオン様の淡麗な字で


『カムイ率いる白夜王女軍がそちらへ向かった。王子たちは引き受ける。そちらも応戦してくれ』


と書いてあった。


「どういうこと？カムイお姉ちゃんが…来るの？」

「そのようですね…。王女たちまでとなると、かなり強い。急いで戻らなければ」


…カムイ様が来るとなると、当然あの二人も…。


カミラ様は手紙をなぜか胸元にしまい込み、自身の相棒にまたがった。


「そうよ、ここでは回復手段が薄い。先にあの砦を取らなければ危ないわ」

「…わかった。急ごう！」


エリーゼ様も芦毛の馬にまたがり、手綱を引いた。


「これより、テンジン砦へ後退を始めるわ！急ぐわよ…決して遅れないように！」


カミラ様が指示し、急いで長城から降りて行く。


ここからレオン様の戦場までは距離がある。

手紙を出して届くまでの時間を考えれば…。


一刻を争う行軍。

今回の戦の中で、一番焦っているように思った。


ーーー

カムイside


「遅れていませんね！？大丈夫ですか…！！」


マークス兄さんとレオンさんと戦った戦場から走り続けて数刻。

体力も落ちて、皆が息を荒く吐く。


「心配なのはお前の方だ…。傷もあるのに、無理をして。…後ろに乗れ」

「いいえ、ヒノカ姉さん。私はこの軍の将です。私だけ楽はできませんから」

「姉様…ですが、皆もさすがに限界です」

「一旦休まないと身がもたないわ、カムイ」

「サクラさん…アクアさんも…」


…確かに、私もだいぶ胸が苦しい。

この後も戦うだろうに、これでは不利か。


「そうですね。一度休息をとりましょう」

「ええ、賛成するわ」


指示を出すと、皆が倒れこむようにその場へ腰を下ろし始めた。

前を向くのに精一杯で、後ろまで見られていなかったようだ。

あんなに疲れているなんて…。


≪カムイ様…星界へ戻られますか？≫


リリスさんが、語りかけてきた。

星界には治癒と竜脈の力で溢れかえっている。

ここはそうした方が賢明だろうか。


「…はい。お願いします」

≪わかりました…では入り口を開きます≫


足元に淡い緑の光が浮かんで、軍全体を包む。

次の瞬間、私たちの体は見慣れた場所に移った。

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