孤独の氷刃２

story51. ページ3

「あなたには関係ないことです」


いつになく冷たく言い放った私に、カムイ様たちも驚かれている様子。

それはマクベスも同じで、私のことを眉を釣り上げながら見ていた。


「…生意気な口を聞きますねぇ」

「ここは医療の宮殿であり、ガロン王の別邸…。あなたが来るところでは……きゃあっ…！？」

「フローラさん！」


予定のセリフより早く、マクベスは魔導を撃った。

それは見事に私の腹に当たって、そこを抑えてなんとか私は踏みとどまる。


「マクベス、何を…！！」

「王の参謀である私に盾を突いた罰です。当然のことではないですか」


カムイ様は怒りに染まった目で彼を見る。

鼻でせせら嗤い、マクベスはまた私に魔導の矛先を向けてきた。

今度は体の真横。

吹き飛ばされるようにして地面に倒れ、強く頭を打ってしまう。


「…う…お逃げください…カムイ…様…」

「姉さん…！！！」


心配して駆け寄って来る妹の足音さえ頭に響く。

少し…調子に乗りすぎたかもしれないな…。

霞んでいくマクベスの姿を恨めしげに睨みながら、私は意識を手放した。


ーーー


『父さんっ…見てください！できました！』


あれは…いつの頃だったろうか。


『おお…流石はフローラですね。とても上手にできていますよ』

『ふふ…がんばりました』


父さんがまだ生きていて、カムイ様に会う前…。

私は父さんの真似をするのが好きだった。


『次はこれです…できますか？』

『…ファイア！…あぁ、失敗です…』

『気をやむことはないですよ。最初はこんなものですから。ほら、もう一度…』


父さんの魔導を操る姿に憧れて、ずっと…練習してやっとできた。

なのに…


『あー！私もやります〜！』

『フェリシア？母さんとの練習は…』

『私だってまどうをやってみたいです！』


まだ生きていた母さんは、フェリシアを後ろから追いかけてきた。


『こら、フェリシアまだ終わってないわよ？』

『母さぁん、私もこっちをやりたいです』

『…いいではないですか、アヤメ』

『クーリアさん…。もう、仕方ないわね。フェリシア、後で補習よ？』

『はぁい』


フェリシアは私の元へやって来て、手を差し伸べる

貸して。ということだろう。

私は大人しくその手に魔導書を置いた。


『えっと…これどうするんですかぁ？』

『バカね。魔力をためてとなえるだけよ』

『わかりました…ファイア！』


フェリシアが手をかざした先に、私と同じように美しい火柱が立った。

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