story62. ページ15
背中に感じる雪の感覚。
少しずつ漏れ出す赤が服と同じように雪を染める。体が少し冷やされて、気持ちが良かった。
…その雪より冷たく感じるものが首元にある
「…殺せばいいわ」
「……」
そう言っても、上にいる彼は動く気配がない。
どんな表情をしているのだろうか。
見たくとも、今の私は見ることができない。
彼の顔を真っ直ぐに見つめたら、きっと頰が赤に染まってまうだろう。
ただ首元の暗器を横目で見て、時が過ぎるのを待つ
「こちらは済みましたよ…！そちらはどうですかジョーカーさん！」
「…カムイ様」
戦闘を終えたというカムイ様たちが、こちらへ駆け寄ってくる。
氷の部族は…負けた。
そう理解するのに時間はいらなかった。
きっとそうだと思っていたから。
「きゃああっ！？ジョ、ジョーカーさん！姉さんに何してるんですかぁっ！？」
「…は？……ああ」
甲高いフェリシアの悲鳴が耳に響く。
その声に一度は間の抜けた声を出したジョーカー。
だが今の体制に改めて気づいたのか、ゆっくりと私の上から退いた。
「…フローラさん。平気ですか？」
今さら立ち上がろうとも思えず、顔を背けたままカムイ様に疑問を投げかける。
「…カムイ様。…どうして、トドメを刺さないのですか…」
「…これが、白夜のやり方です。無意味に命を散らせたりはしません」
「では、部族の皆も…」
「はい、気絶していますが平気です」
「そう…ですか。…ふう…」
思わず漏れた吐息が、白くなって舞い上がる。
「ジョーカーさん。フローラさんを回復してあげてくれませんか」
「…はい、承知しました」
カムイ様の指示に従って、ジョーカーは私にライブの杖を向ける。
「それから、サクラさんは他の方々を」
「は、はい！行ってきます！」
「アクアさん、ついて行ってあげて下さい」
「ええ」
的確な指示に、白夜の者は次々に従った。
…本当に、この方は変わられた。
もう誰かの助けなどいらないのだろう。
「フローラ。お前、何を言いかけてたんだ？」
「…あぁ、あのこと…。なんでもないわ、忘れて」
「…わかった」
彼も、成長したのだろうな。
そしてきっとフェリシアも…。
でも、変わったのはあなたたちだけじゃないの。
私だって…環境が変わり、立場が変わり、気持ちが変わり。
まだ終わっていない。
本当の戦は今ここから。
だから…最後に許しを請おう。
これからする残酷なことを、どうか許して。
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すぃふる(プロフ) - のり☆もちさん» ありがとうございます！というか私シリアスしか書けないやっぱ… (2017年1月4日 1時) (
レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
のり☆もち(プロフ) - すぃふるさん» ほんと切ない。けどシリアス大好物の私にとってはめちゃめちゃ美味しい展開ですw 更新頑張って下さい！ (2017年1月3日 23時) (レス) id: 53609598f6 (このIDを非表示/違反報告)
すぃふる(プロフ) - のり☆もちさん» 私も幸せにしてあげたい…。だけど今の売りは「切ない」なんだ。我慢してね〜フローラ？「…凍てつきなさい、作者！」 (2017年1月3日 23時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
のり☆もち(プロフ) - すぃふるさん» 切ない…ジョフロ…切ない…流石です、ただただ切ない…。 (2017年1月3日 22時) (レス) id: 53609598f6 (このIDを非表示/違反報告)
すぃふる(プロフ) - あっぷるぱい猫系女子さん» ほんとやっとですよー。さて、フローラはこの後悔をどうするのでしょうか？ (2017年1月3日 21時) (レス) id: e512150446 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すぃふる | 作成日時：2016年11月22日 15時
